研究課題/領域番号 |
22H03444
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
青柳 陽一郎 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30286661)
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研究分担者 |
加賀谷 斉 藤田医科大学, 医学部, 客員教授 (40282181)
柴田 斉子 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40319265)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 摂食嚥下障害 / 高解像度マノメトリー / 摂食嚥下リハビリテーション / 嚥下反射 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、高解像度マノメトリーの臨床応用、非侵襲的な嚥下回数評価方法の開発、嗅覚刺激が嚥下機能に及ぼす影響の検討、食道刺激による嚥下反射誘発を用いた治療法の開発等を目的として行った。 まず、6名の健常被験者に鼻腔より高解像度マノメトリーカテーテルを挿入し、顎二腹筋前腹にあたる位置に筋電図電極を、甲状軟骨上縁外側にインピーダンス電極を、輪状軟骨中央部にあたる位置に音声マイクを貼付し、唾液嚥下と発声をランダムに指示し、64回記録の上、解析した。唾液嚥下と発声を識別する感度、特異度、正確度は高解像度マノメトリーが最も高かったが(>99%)、表面記録で得られる筋電図、インピーダンス、音声ともに96%以上の感度、特異度、正確度が得られた。本年度は、安静時、すなわち非指示下での各記録方法における感度、特異度、正確度を検討し、嚥下回数の測定に有用な方法を探る。 また、嗅覚刺激として、嚥下機能が低下した高齢者を対象にヒノキ精油吸入を行い、嚥下機能に及ぼす即時効果について検討した。嚥下機能が低下した老人保健施設利用者12名を対象とし、ランダム化クロスオーバー比較試験を行った。ヒノキ精油または米油(プラセボ)150uLを脱脂綿に含ませ、5分間の嗅覚刺激を行った。嗅覚刺激前後で反復唾液嚥下テスト(RSST)、 水飲みテスト、唾液分泌量(10分間の唾液分泌量)を測定した。1週間後にもう一方の嗅覚刺激を行った。結果は、ヒノキ精油吸入はプラセボ吸入と比較して、RSST、水飲みテストで有意に改善し、唾液分泌量は増加した。ヒノキ精油を吸入することで、即時的に嚥下反射の惹起性が改善すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍 で臨床研究が一時ストップしたこと、半導体不足の影響で機器購入に遅れが生じたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)高解像度インピーダンスマノメトリーと嚥下造影検査を同期して行い比較することで、咽頭・食道内圧とインピーダンス値の組み合わせから嚥下造影検査の所見(誤嚥の有無、咽頭残留量)をどの程度説明可能かを検証する。(2)非侵襲的な嚥下回数評価方法を開発・検証する。(3)嗅覚刺激が嚥下機能に及ぼす影響を検討する。(4)食道刺激による嚥下反射誘発」を中等度~重度の咽頭期嚥下障害患者に対する新たな治療法として開発する。(5)舌骨上筋群への連続磁気刺激を用いて、その効果検証を行う。
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