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2022 年度 実績報告書

脳卒中感覚運動機能障害改善のための個別最適化リハビリテーションシステムの創成

研究課題

研究課題/領域番号 22H03445
配分区分補助金
研究機関京都橘大学

研究代表者

兒玉 隆之  京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)

研究分担者 片山 脩  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 外来研究員 (60845999)
森田 喜一郎  久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (20140642)
井上 真理  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
永野 光  神戸大学, 工学研究科, 助教 (70758127)
中野 英樹  京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559)
村田 伸  京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード神経リハビリテーション / 脳波 / BCI / iNems / 身体認知
研究実績の概要

本年度は、これまで取り組んできた神経リハビリテーションデバイスシステムの開発研究(基盤C:18K10798)で完成したプロトタイプデバイスを用いて、多感覚刺激治療装置の基盤システム開発および臨床での介入研究を実施した。本プロトタイプデバイスは、脳血管障害後の感覚運動障害患者や慢性的な感覚異常により身体実在感を創出した患者に対して、自らの能動的な脳内運動感覚指令を起点に視覚的・深部感覚刺激による受動的な代償的運動応答を誘起できるものである。
開発を行っている多感覚刺激治療装置は、センシングシグナルに脳波成分の出現パターンを利用し、感覚運動機能障害を呈した肢へのティーチング手段に視覚、体性感覚や運動錯覚を用いることを目標としている。現在は、手指からの摩擦振動情報を代償的にフィードバック可能な装置の開発と、視覚および体性感覚を融合した治療装置システム開発の段階まで進んでいる。
2022年度は、研究協力施設である京都府(2施設)および愛知県(2施設)の病院施設にて、脳卒中発症後に運動麻痺、しびれと身体性低下を認める患者6名に対して介入を行った。本システムを用いた治療介入の結果、身体認知(運動主体感)としびれに対する破局的思考が改善し、麻痺側上肢の使用頻度および動作の質が向上した。さらに安静時および運動イメージ時の脳波活動にも改善を示す変化を認めた。以上より、脳卒中後の感覚運動機能障害患者に対する多感覚刺激装置を用いたiNemsトレーニングが、行動学的および神経生理学的な変化を引き起こすことを明らかにした。これらの結果はすでに学会発表や論文として発表を行っており、さらなる対象者数および対象症状の拡大拡充を目指し、現在も研究を継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

多感覚刺激装置の開発へ向けたシステム構築および実証研究において、脳卒中後の感覚運動機能障害患者にシステムを用いた神経リハビリテーションが奏効することを介入研究成果として報告した。ご協力いただいた方々は、脳神経活動の改善のみならず、障害に対する認識やQOLにおいても改善を認めているが、システムの脳波センシング精度改善に時間がかかっており、一度に実施できるアプローチ時間への影響が大きくなってしまった。そのため、多くの対象者に対して実施できていない状況から、「やや遅れている」と判断した。
本年度の9月までには、構築しシステムの精度を改善する予定であり、それを用いた介入実験を計画している。

今後の研究の推進方策

2022年度に引き続き、当初の計画へと軌道修正し研究を遂行する。また、システムを量産し脳血管障害患者や身体性障害を有する患者に対して介入を実施する。現時点では、効果判定に関連する下肢運動評価システムを製作しており、その特許取得へ向け取り組んでいる。これらを進めることで、本システムを基盤としたBCIリハビリテーションの有用性について検証していく。さらに、これらを展開することで、脳機能障害患者に対する神経機能再編成を具現化できるようメソッドの確立を目指す。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effectiveness of Sensory Compensation Approach for Hand Sensory-Motor Dysfunction Following Central Cervical Spinal Cord Injury2022

    • 著者名/発表者名
      Ken Kitai, Tomohiro Ueda, Ryosuke Yamauchi, Yuji Mizushima, Shin Murata, Hideki Nakano, Mari Inoue, Hikaru Nagano, Takayuki Kodama
    • 雑誌名

      International Journal of Physical Medicine & Rehabilitation

      巻: 10 ページ: 649

    • DOI

      10.35248/2329-9096.22.10.649

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neurophysiological Examination of the Effects of Behavioral Antecedents on Physical Balance in Older Individuals2022

    • 著者名/発表者名
      Kodama Takayuki, Abiko Teppei, Matsuo Nana, Yamaguchi Hideaki
    • 雑誌名

      Physical Medicine and Rehabilitation - International

      巻: 9 ページ: 1202

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 技能学習を促す「メタ触覚共有インタフェース」の提案2022

    • 著者名/発表者名
      湯川光, 海老名里紗, 兒玉隆之, 小田桐匡, 佐藤正幸, 武田美智也, 倉地雅彦, 田中由浩
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会2022
  • [学会発表] How do our brains perceive comfort during face-washing actions? -An investigation of the reason why we continue to use cleansing foams-2022

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Inoko, Mayumi Kagami, Tetsuhito Sakurai, Akio Goda, Takayuki Kodama
    • 学会等名
      The IFSCC Congress 2022 London
    • 国際学会
  • [学会発表] 回復期右視床梗塞患者に対する脳波BCI システムiNems の効果検討2022

    • 著者名/発表者名
      村上貴士, 池尻生実, 北井拳, 片山脩, 兒玉隆之
    • 学会等名
      第20回日本神経理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 上肢身体認知に対する評価ツール開発とその有用性検証2022

    • 著者名/発表者名
      池尻生実, 安達巧真, 佐藤瑞希, 村上貴士, 兒玉隆之
    • 学会等名
      第20回日本神経理学療法学会学術大会
  • [学会発表] パーキンソン病患者に対しInternal Cueを伴う指歩き練習がすくみ足に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      本恭久,片山脩,壹岐英正,兒玉隆之
    • 学会等名
      第56回日本作業療法学会
  • [備考] 兒玉研究室ホームページ

    • URL

      https://www.tk-lab.net/

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公開日: 2023-12-25  

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