研究課題/領域番号 |
22H03446
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 客員教授 (10212127)
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研究分担者 |
山中 博樹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20340995)
古賀 浩平 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50768455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脚傍核 / 疼痛 / 脊髄後角 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神/情動ネットワークのゲートキーパーである腕傍核での調節メカニズムの詳細を解明し、疼痛に伴う精神症状を引き起こす過程を解明することである。方法論としてはマウス・ラットの各種運動器疼痛モデルを用い、末梢組織炎症や神経傷害によって発現が変化する脊髄後角の腕傍核投射ニューロンでの神経伝達関連因子と、腕傍核の興奮性増加の関係性/因果関係等を解明する。興奮性ペプチドであるBDNFなどの神経ペプチドや、内因性オピオイドである Dynorphinが、腕傍核ニューロンに与える影響を興奮性マーカー発現、形態的可塑性、電気生理学的興奮特性の3点を指標に評価する。 1年目に関しては、形態学的な証明を完成することであった。脊髄後角には大きく分けて投射ニューロンと介在ニューロンが存在する。Iamina Iに存在する投射ニューロンは侵害受容を上行性に伝えることが知られており、主な投射先は腕傍核や中脳水道灰白質である。このIamina Iの投射ニューロンで、代表的な神経因性疼痛モデルであるspared nerve injury(SNI)モデルや、末梢炎症性疼痛モデルであるComplete Freund's adjuvant (CFA)モデルにおいて神経伝達物質であるBDNFやSubstance Pが発現上昇していたことから、投射先である腕傍核のneuronでの変化を検討した。痛みモデルでは腕傍核のneuronでc-fosの発現増加すること知られているため、検討を行った。しかしながら我々も使用しており実績のあるc-Fosの抗体が製造中止となったため、新たに信頼できるc-fosの抗体入手と染色条件の検討に時間を要した。現在は新たな抗体を使用してc-fosが増加するneuronにBDNFの受容体であるTrkBやSPの受容体であるNK1が発現しているかを確認すべく、染色条件を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脚傍核でのニューロンの興奮性を調べる目的で、痛みモデルでは腕傍核のneuronでc-fosの発現増加すること知られているため、検討を行った。しかしながら我々も使用しており実績のあるc-Fosの抗体が製造中止となったため、新たに信頼できるc-fosの抗体入手と染色条件の検討に時間を要した。複数の抗体を購入したが、これまでと同じ染色性を示す抗体がなかなか存在せず、我々のみならずこの方面の研究者にとって大きな問題となってきている。何とか、比較的使用に耐える抗体が見つけ出すことができたので、これから研究が進展すると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.腕傍核における神経活性ペプチドの動態解析 BDNFを中心として、発現とその変化を確認し、最終的な報告を目指す。また、扁桃体にトレーサーを入れ、扁桃体へ投射するニューロンにおいて受容体との共発現があるかどうかを確認すると共に、活動性のマーカーのc-fos発現があるかを検討する。 2. 腕傍核ニューロンの活性化の形態学的解析 運動器疼痛モデル動物を用いて、脊髄へのshRNA投与により神経活性ペプチドがそれぞれ腕傍核での終末にてノックダウンされたモデル動物において、形態的な可塑性の1つであるシナプス-スパインの定量的な解析を行う。疼痛モデルにおいて腕傍核のc-fos発現が有意に増加し、かつ脊髄からのペプチド発現増加がリンクしたタイミングでゴルジ染色を行い、樹状突起上のスパイン数を検討する。 3.腕傍核ニューロンの活性化の機能的解析 次年度は基礎的データとして腕傍核のスライス標本を用いてBDNFやSPの灌流による興奮性の変化を検討の予備実験を開始する予定である。
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