研究課題
組織の修復では細胞から放出されるエクソソームが細胞間連携の役割を担い,組織修復を制御する因子と考えられる.そこで,エクソソームの放出を調節し,体外から組織の修復過程を制御することが出来るかどうかを検証する.先ず低酸素環境や超音波照射でエクソソームの放出が促進されるかを検証した.超音波照射によりエクソソームの放出量はナノ粒子解析により非照射に比較して増加することやCD63陽性のエクソソームであることを確認した.炎症誘導した骨髄由来マクロファージに超音波で放出されたエクソソームを添加した結果,TNF-α、IL-6等の炎症反応を減弱させた.骨格筋由来のエクソソームは抗炎症効果をもつことが超音波刺激の結果から明らかになった.一方,超音波刺激は限定した部位に対しては有効であるが,刺激面積が限定される.そこで,低酸素刺激による効果についても検証した.低酸素刺激は大量の細胞を同時に刺激する効率的な方法の一つであり,多種の細胞からのエクソソームの放出を促進することが可能である.そこで低酸素環境が筋細胞由来のエクソソームの放出に及ぼす影響と抗炎症効果について検討した.低酸素環境の強度について検証し,8%酸素濃度時に効率的にエクソソームの放出が亢進されることを観察した.また,低酸素環境に刺激された筋細胞ではHIF-1αやRab39bの発現量が増加した.以上の結果から超音波や低酸素治療等の物理的刺激が炎症を制御できる作用があることが示唆された.
3: やや遅れている
低圧低酸素環境での培養法の確立,低圧低酸素培養装置の開発を行っていたが,装置の開発に遅れが生じたために,低酸素環境での検証に遅延を生じた.
低圧低酸素培養装置の開発に遅れを生じていた.気圧制御をする低圧低酸素培養装置は現有しないために本装置の開発の完成なくては低圧低酸素環境による刺激実験が実現しない.微調整が必要であるが,開発に目処が経ち,装置が完成する見込みである.装置完成後は低酸素による研究を加速する計画である.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 8件)
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