研究分担者 |
小尾 正太郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10734452)
安田 智洋 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (20549604)
植松 梓 追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (60613453)
福田 宏嗣 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70526269)
豊田 茂 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80332998)
柴崎 郁子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80438689)
狩野 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90293133)
|
研究実績の概要 |
臨床研究 1)自転車エルゴメータによる運動負荷中の大腿直筋活動および循環動態に及ぼす下肢加圧の影響(健常成人11例): レジスタンス運動を用いた我々の先行研究では,加圧下では低負荷にて運動中の筋活動増大するが,有酸素運動を扱った本研究では,AT(嫌気性代謝閾値)レベルまでは大腿直筋活動が加圧により増大したが,最高酸素摂取量レベルでは変化が見られなかった.また,加圧によって低い心拍数でATレベルに達した.これらのことから,加圧下では心臓リハビリテーションで用いられるATレベル程度の有酸素運動を心臓の負担が軽減し筋活動が増大する条件で行える可能性が示唆された.2)心血管疾患患者における筋萎縮・サルコペニアの血液バイオマーカーについて:心血管病患者における血清アシルカルニチン(AC)値とアシルカルニチン(AC)/遊離カルニチン(FC)比の病態生理学的役割につき検討した.血清AC値,AC/FC比と慢性腎臓病CKD,心不全との間に有意な関連を認めた.骨格筋減少とサルコペニアもまた, 血清AC値,AC/FC比の上昇と関連した.3)サルコペニア診断における超音波による大腿前面筋厚の有用性:心血管疾患の入院患者を対象に,超音波による大腿前面筋厚の測定はサルコペニアの診断に役立つ簡単で有用な方法と思われた. 基礎研究 1)除神経によるマウス廃用モデルにおける骨格筋萎縮:マウス除神経モデルにおける筋萎縮の機序につき,遺伝子のアレイ解析,さらに網羅的なマイクロRNA解析を行った.除神経により著明な筋萎縮がみられたが, このモデルで2倍以上増加した遺伝子は1040遺伝子,0.5倍以下に低下した遺伝子は510個あった.また, 2.5倍以上有意に増加したmiRNAは17個, 1.5倍以上に増加したmiRNAは65個であった.現在, miRNA-mRNAネットワーク解析により筋萎縮の分子機能につき検討している.
|
今後の研究の推進方策 |
臨床研究(1)当院ハートセンターに入院中の患者で, 握力・歩行速度・筋量からサルコペニアの有無を評価し, サルコペニアと診断された患者に対し, 臨床研究をこれまで通り実施する. リハビリ法は, 血流制限下トレーニングと和温療法であり, 運動の困難な症例では, 電気刺激を用いる. 臨床研究(2)循環器疾患のサルコペニアのバイオマーカーの探索:サルコペニア及び高齢健常者の血液サンプルとともに, 心不全患者(HFrEF, HFpEF)に対して血液採血を追加し, 循環器疾患のサルコペニアに関連する血液バイオマーカーを探索する. 基礎研究(1)ラットの実験的なin vivo 筋萎縮モデル(不活動モデルとしてマウスの神経を切除した除神経廃用モデル)を用いて, 今後も, 温熱負荷及び血流制限下の低強度電気刺激が筋萎縮に及ぼす有用性と分子的機序を検討する. 基礎研究(2)In vitroで骨格筋C2C12細胞を用いた検討:マウス骨格筋由来筋芽細胞(C2C12細胞)を用いて, 低酸素と温熱刺激による筋肥大とともに, 質的変化 (筋線維型, 細胞接着や細胞外マトリックス, エネルギー代謝, オートファジー, apoptosisなどへの影響)についても検討する.
|