研究課題/領域番号 |
22H03458
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田口 徹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90464156)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ストレス / 痛み / 筋・筋膜性疼痛 / 侵害受容 / 脊髄 / 下行性疼痛抑制 / 視床下部 / 理学療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、長期間の肉体的および精神的ストレス負荷により生じる「ストレス誘発性疼痛(stress-induced pain, SiP)」やストレスがその発症・増悪に深く関与する「線維筋痛症(FM)」など、痛覚変調性疼痛に分類される難治性疼痛のメカニズム解明を目的としている。本年度(2023年度)は、繰り返し寒冷ストレス(RCS)負荷によるSiPモデルラットを用い、このモデルの皮膚において、1)機械および熱痛覚過敏行動がみられること、2)ホルマリン投与による化学的痛み刺激に対する第II相の疼痛関連行動が亢進すること、3)ホルマリン刺激後、脊髄後角I-II層、III-IV層、V-VI層のいずれにおいてもc-Fos陽性細胞の顕著な増加がみられ、痛み刺激に対する脊髄ニューロンの興奮性が増大していることを明らかにした。これらの知見はRCSモデルのさらなる特徴づけと脊髄機構の一端を明らかにした成果であり、本年度、論文化に至った。また、複合持続ストレス(MCS)負荷によるSiPモデルラットを用い、筋痛覚受容を担うC線維侵害受容器をカプサイシン投与により選択的に活性化したところ、脊髄後角ニューロンの顕著な興奮性増大がみられた。一方、MCSモデルラットに対し、モデル作製前にトレッドミル走行を実施し、疼痛関連行動や脊髄後角ミクログリアの動態を調べたところ、モデル作製前の運動負荷はそれらの指標に影響を与えない結果となった。これについては運動負荷プロトコルの改良や使用するモデルの変更、モデル作製後の運動実施などの検討をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は繰り返し寒冷ストレス(RCS)負荷によるストレス誘発性疼痛モデルラットを用い、このモデルにおける皮膚痛覚過敏行動の存在を明らかにし、モデルの更なる特徴づけと、その脊髄機構の一端を明らかにした。また、当初の研究計画にはなかったが、国際共同研究として、脊髄から視床や中脳中心灰白質に直接上行する投射ニューロンの神経解剖学的研究にも取り組み、学会発表した。ストレス誘発性疼痛に対する運動療法効果とそのメカニズム解明については予想していた結果がまだ得られていないが、実験条件や使用するモデルの変更などで対応していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)脊髄から視床や中脳中心灰白質に直接上行する投射ニューロンの神経解剖学的研究により得られた国際共同研究成果を論文化する。 2)線維筋痛症に対する有効薬物の探索と脊髄作用機序に関する研究成果を論文化する。 3)SiPやFMの痛覚過敏に対するトレッドミル運動の鎮痛効果や脊髄および脳における作用機序を明らかにする。 4)環境ストレスに対するヒト被験者を用いた精神物理学的研究により得られた成果を論文化する。 5)SiPにおける筋痛覚過敏の存在を実証し、その脊髄や視床下部を介した機構の一端を明らかにする。
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