研究実績の概要 |
本研究はフレイルからの改善をテーマに行う。フレイルとは、元気な状態と介護などが必要な状態の中間とされ、要介護、入院、死亡などのリスクが高い一方で、フレイルの状態を維持したり元気な状態に移行することができる可変的な状態とされる。しかし、フレイルからの改善におけるメカニズムについては十分に明らかになっていない。そこで、本研究は、地域在住高齢者を対象に長期縦断研究を実施し、フレイルの改善に寄与する因子を、生活習慣、機能レベル(身体機能や認知機能など)、活動レベルなど修正可能な因子において検討し、血液データを用いてメカニズムの検討することを目的とした。 2022年度の実績報告として10年後調査の準備と高齢者機能健診調査(NCGG-SGS)の既存データを用いたプレリミナリー解析によりバイオマーカーとフレイルとの関連を横断的に検討した。予備的検討として、炎症マーカーであるMDA,CRP、IL-6を用いてフレイルとの関連を年齢・性別・BMIで調整して検討した。潜在的対象者は4029名であった(年齢:71.7 ± 6.9歳、女性56%、BMI:23.5 ± 3.3)。フレイルの判定はJ-CHS indexをもとに、以下の5つの基準のうち、1~2つ該当した場合をプレフレイル、3つ以上に該当した場合をフレイルとした。各変数に欠損値があった者を除き検討した結果、CRPがフレイルと最も関連が顕著にみられた(n = 3878, p = 0.006)。また、調査準備は円滑に進み、次年度に問題なく追跡調査を行える状況にある。
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