研究実績の概要 |
令和4年度は、佐賀J-MICCスタディのベースライン調査時に採取された末梢血DNAサンプルを用いて、大腸癌および乳癌の発症との関連が予想されるVTI1A遺伝子内の2か所の一塩基多型(rs12241008, rs10506868)、およびTCF7L2遺伝子内の3か所の一塩基多型(rs11196172, rs7903146, rs7904519)の遺伝子多型の測定をTaqMan法(リアルタイムPCR法)を用いて行った。全12,000検体のうち、約10,500検体のDNAサンプルの測定を終了した。
令和4年度の当初の研究計画としては「VTI1A遺伝子の一塩基多型を2か所のみ(rs12241008, rs10506868)測定し(上述のTCF7L2遺伝子内の3か所の一塩基多型は未だ行わずに)、これと同じVTI1A遺伝子のDNAメチル化の測定をパイロシーケンス法を用いて進める」というものだった。しかし、令和4年度の夏の時点で、DNAメチル化測定の最新機器(キアゲン社製Pyromark Q48 Autoprep[これまで使用していたPyromark Q24の約2倍の速度でDNAメチル化の測定を進める事が可能])が共同機器センターに令和5年度に導入される事が決定していたので、VTI1A遺伝子のDNAメチル化測定は次年度の令和5年度に新しいPyromark Q48 Autoprepを用いて行う事にして、令和4年度は実施しなかった。代わりに、令和4年度には予定していなかったTCF7L2遺伝子内の3か所の一塩基多型(rs11196172, rs7903146, rs7904519)の遺伝子多型の測定を追加して実施した次第である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載した全ての(5か所)遺伝子多型(VTI1A遺伝子内の2か所の一塩基多型[rs12241008, rs10506868]、およびTCF7L2遺伝子内の3か所の一塩基多型[rs11196172, rs7903146, rs7904519])の全12,000検体の測定は、令和5年度の6月に終了できる見込みである。それが終わり次第、これら2つの遺伝子(VTI1A・TCF7L2)のDNAメチル化の測定を集中的に進める予定である。上述したようにPyromark Q48 Autoprep(上述の最新機器)を用いるとこれまでよりもずっと早くDNAメチル化測定を進める事ができるが、これまで研究代表者が使用していたPyromark Q24の実験プロトコールでは必ずしもうまくいかない場合がある事が予備実験の過程で分かってきた。先ずは、Pyromark Q48 Autoprep用のVTI1A遺伝子DNAメチル化の測定方法のセットアップにエネルギーをそそぎたい。加えて、上述の2つの遺伝子内のDNAメチル化の新たな測定部位(追加の候補)の探索にも取り組む予定である。
|