研究課題/領域番号 |
22H03472
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平田 浩祐 筑波大学, 体育系, 助教 (00835746)
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研究分担者 |
赤木 亮太 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (20581458)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 柔軟性 / ストレッチング / 生体軟組織 / スティフネス / 加齢 / 高齢者 / 筋 / 神経 |
研究実績の概要 |
加齢に伴う柔軟性の低下は,転倒や不活動を誘発し,寝たきりの引き金となるため,高齢者の柔軟性改善は不可欠である.柔軟性は軟組織の硬さにより制限され,若年者においては筋の硬さが主要な因子である.一方,申請者らは高齢男性の柔軟性が神経の硬さと関連すること,および,若年者の筋の硬さを低下させるストレッチングが高齢者に対しては効果を認めないことを明らかにした.そこで,当該年度は,神経の硬さの低下に着目したストレッチングが高齢者の柔軟性に及ぼす影響を検討した.対象者は65歳以上の健常な地域在住高齢男性27名とした.参加者に対し,足関節底屈筋群の硬さ低下を主眼としたストレッチング,および,下肢後面を走行する神経の硬さ低下を主眼としたストレッチングを別日に実施し,各ストレッチング前後の測定項目の変化から,ストレッチングの急性効果を比較した.筋に対するストレッチングとして,ストレッチングボードを用いた立位での足関節背屈ストレッチングを実施した.神経に対するストレッチングとして,長座位および足関節解剖学的正位において股関節,腰椎,胸椎,頸椎を順に屈曲させるストレッチングを実施した.いずれのストレッチングも40秒×10回実施した.測定項目は以下の通りとした.等速性筋力計により受動的足関節背屈可動域を測定した.超音波剪断波エラストグラフィにより腓腹筋内側頭,大腿二頭筋,坐骨神経の硬さを評価した.いずれのストレッチングについても関節可動域の増加および坐骨神経の硬さの低下が認められた.しかし,いずれの測定項目においてもストレッチングの種類による違いは認められなかった.本研究の結果は,これまでの申請者の研究結果を支持し,神経の硬さの低下が高齢者の関節柔軟性の向上に寄与することを示唆するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者の柔軟性を効果的に向上するストレッチング方法を探索しつつ,様々な性別,身体活動レベルの高齢者の横断データを収集している.当初の計画に照らし,2年目終了時点としてはおおむね順調に研究が進展している.
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今後の研究の推進方策 |
現状,大きな問題は生じていない.このため,当初の計画通りに研究を実施する.具体的には,様々な特徴を有する高齢者の柔軟性に対し,効果的な介入手法(ストレッチングなど)を急性効果の検証から探索する.そして,急性効果が認められた介入手法を用いて慢性効果および持続効果を検討する.
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