研究課題/領域番号 |
22H03477
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所 |
研究代表者 |
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
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研究分担者 |
高倉 久志 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20631914)
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
狩野 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90293133)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 豊かな環境 / 認知機能 / 情動 |
研究実績の概要 |
2022年度は、慢性的外因性ストレスモデル作成、及びそれらの改善を目指した自発的な身体活動による影響を把握することを目的として、環境刺激が外的ストレスとしてどのような影響を及ぼすかにフォーカスし、ホルモン応答と認知機能、及び情動行動の検証を行った。また、末梢炎症反応と骨格筋の形態学的変化を評価し、骨格筋と脳の相互作用についても考察を行なった。 有酸素性運動による脳機能の向上が指摘されているが、自発的な身体活動を促す豊かな環境モデルでは、ランニングホイールの有無による影響を考慮していない先行研究が多く存在する。そこで、豊かな環境におけるランニングホイールの有無と外因性ストレスの関係を検証した結果、自発的な身体活動レベルとコルチコステロン濃度に相関関係は認められなかった。特に、ランニングホール無し群では身体活動レベルが低いにも関わらずコルチコステロン濃度が有り群と同等であった。また、行動テストにより得られた結果からランニングホイールの有無に関係なく空間記憶学習能の向上、及び、不安様行動の安定が示唆された。末梢の炎症反応としての血清IL-6濃度は、ランニングホイール無し群でのみ増加した。また、筋重量と筋横断面積の解析よりヒラメ筋における肥大が示唆された。以上の結果から、慢性的な飼育環境刺激は、身体活動レベルには非依存的に脳機能の亢進をもたらす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、社会性ストレスモデルの作成を進めるにあたり、事前に飼育環境視点からのストレス刺激が脳機能に及ぼす影響を把握する必要があった。そこで、骨格筋-脳機能の相互作用を明らかにするために必要な評価項目のセットアップを優先した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、「慢性社会的ストレスモデル」を作成し、正常モデルとの比較を行う。また、これらのモデルを対象に、骨格筋における細胞間の間質液流動の促進を誘発する振動刺激パターンを探索する。さらに、振動刺激による脳内神経細胞の構造変化、及びストレス応答性炎症関連物質の定量評価、社会行動、情動、認知機能にもたらす影響を行動神経科学の手法を用いて評価を行う。今年度の評価実験系は確立済みであることから、モデル作成の実施、振動刺激の負荷を実施して、研究を進めていく予定である。
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