研究課題/領域番号 |
22H03480
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小笠原 一生 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70443249)
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研究分担者 |
寺田 吉壱 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (10738793)
内山 彰 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (70555234)
SUBHASH・REVANKAR Gajanan 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (70899773)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 前十字靭帯損傷 / リスク予測 / 意思決定 / 行動選択 / 外傷予防 / 機械学習 / 認知負荷 / アスレティックトレーニング |
研究実績の概要 |
2023年度は2022年度から継続して、受傷後間もない前十字靭帯(ACL)損傷患者および健康人を対象に、心理特性のWebアンケート調査を継続して実施した。研究拠点である大阪大学医学部附属病院を中心に神戸大学医学部附属病院、関西労災病院、第2大阪警察病院で実施した。Webアンケートでは2,000名を超える参加者を得た。ここで得た情報は、心理特性から外傷リスクを予測するための学習データとなる。解析結果をより、スポーツ復帰に4週間以上を要する重篤外傷既往者は、目的指向性のうちタスク志向性と、他者からの承認欲求度が有意に高いことが明らかとなった。これは欧米の先行研究とは異なる我が国独特の特性のようで、英文誌に報告した。また、より詳しい解析のため、ACL損傷患者10名を対象に半構造化インタビューを実施し受傷時のエピソードや、心理描写、社会認知的要素の聞き取りを行った。こちらは解析と論文執筆を継続中である。 スポーツ中の認知負荷を再現した心理物理実験3件を新規に立ち上げた。うち、終了した1件については、23名のスポーツ経験者に対し片脚着地動作中の動作選択(意思決定)に関して調べた。対象者には動作開始後にレーザーポインタによって左右2点の着地目標点を提示し、いずれかの着地目標点を選択して、片脚で着地後、立位を保持するよう求めた。その結果、着地後の姿勢動揺が抑えられるよう、着地目標点の出現範囲を予測して動作を開始すること、着地目標点の提示タイミング以前の身体重心位置やその速度方向が着地目標点選択に関与することがわかった。残る2件は、やはり運動中の意思決定に関するもので、1つは粗大歩行動作(ステップを含む)で、1つは腕リーチ動作であり、継続して実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は当初の計画以上の進展がある。 スポーツ外傷の背景に潜む心理特性の大規模Webアンケート調査においては、当初の予定を上回る対象者をリクルートでき、十分な学習データを得られた。また、解析結果より、欧米の先行研究とは異なる我が国独特の心理特性が重篤外傷の誘引となっている可能性が見出され、その結果は、臨床的にも合理性があることから、極めて興味深い知見となった。英文誌に受理されたことも研究を進展させた。今後も本調査は継続することから、さらなる発展が予想される。 ラボ実験を主体とした、スポーツ場面の認知負荷状況を再現した心理物理実験においても2023年度に3件を新規に立ち上げ、1件はすでに終了した。以上のことから、本研究を構成するサブプロジェクトをバランス良く進められている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は特に問題なく進んできており、また、2024年度に取り組む、ACL損傷経験者を対象とした半構造化インタビューや、ラポでの心理物理実験の大半は2023年度に基盤が確立している。したがって、今後も、予定どおりのスケジュールで研究を推進する。研究体制については、3名の研究分担者と2023年度から継続している博士院生は変わりなく研究に従事する。週1回の進捗ミーティングを継続しており、進捗の共有に抜かりはない。また、2024年度より、博士院生1名、修士院生1名がサププロジェクトを担当する。研究分担者の寺田との関数データ解析を用いたリスク予測に最終的に着手する。
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