研究課題/領域番号 |
22H03481
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
渡邊 大輝 大阪体育大学, 体育学部, 助手 (30823281)
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研究分担者 |
西 美幸 京都大学, 薬学研究科, 研究員 (60183894)
竹島 浩 京都大学, 薬学研究科, 教授 (70212024)
和田 正信 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (80220961)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミツグミン23 / スキンドファイバー / 筋小胞体 / カルシウム漏出 / 筋疲労 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,運動および不活動に伴う筋の可塑的変化の原因を,ミツグミン23(MG23)に着目して明らかにすることである.2023年度は,2022年度に行った実験の論文化,および「MG23が筋疲労に及ぼす影響」の検討を行った.前者については,「MG23は筋小胞体のカルシウム(Ca2+)漏出チャネルとして働く可能性がある」という内容の論文をアメリカ生理学会誌に投稿し,受理された.後者に関しては,C57BL6系統の野生型(Wt)およびMG23欠損(KO)マウスの片脚の底屈筋に対して,電気刺激(疲労収縮)を負荷し疲労を誘起するモデルを使用した.疲労収縮の収縮様式として,等尺性収縮と伸張性収縮の2パターンを行った.伸張性収縮を行うと,細胞質Ca2+濃度の上昇が等尺性収縮よりも著しく生じ,等尺性収縮では見られ難い炎症性の筋損傷が生じる.等尺性収縮による疲労刺激終了2時間後にWtよりもKOのほうが高い筋収縮力を示した.一方で,伸張性収縮による疲労刺激終了1日後および3日後においては,WtとKOの間で筋収縮力の回復の程度に違いは認められなかった.メカニカルスキンドファイバーの解析からは,等尺性収縮による疲労刺激終了2時間後にはWtよりもKOの筋小胞体のCa2+放出機能が増加し,Wtにみられる筋小胞体Ca2+含量の低下がKOでは見られないことが明らかとなった.一方,伸張性収縮による疲労刺激終了3日後においては,WtとKOのどちらも筋小胞体のCa2+含量が同程度低下した.これらの結果は,MG23を介したCa2+漏出は等尺性収縮後の疲労に関与するが,伸張性収縮後の疲労には関与しないことを示唆する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度から行っている「MG23と筋疲労の関係」についての研究は,種々の収縮様式について検討することで2023年度において大きく進展した.また,「MG23と活性酸素種の関係」についても予備実験が順調に進行しており,当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「MG23と筋疲労の関係」と「MG23と活性酸素種の関係」の2つのテーマの研究を進めることとする.前者に関しては,MG23と他のチャネルの関連性に着目し,種々のチャネルの薬理的阻害および遺伝的阻害を用いて,MG23と他のチャネルの関係性が筋疲労に及ぼす影響を検討する.後者に関しては,MG23の複合体形成に着目して,活性酸素種がMG23の複合体形成にどのような影響を及ぼすかを検討する.
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