研究課題/領域番号 |
22H03482
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
長谷川 博 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70314713)
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研究分担者 |
柳岡 拓磨 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20846951)
鬼塚 純玲 広島文化学園大学, 人間健康学部, 講師 (20827349)
中村 真理子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部, 研究員 (30343677)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 暑熱環境 / 運動能力 / 身体冷却 / 体温調節 / 脳循環調節 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、暑熱環境下での実験室及びフィールドベースにおける実験を行い、冷却戦略として注目されている身体内部冷却及び外部冷却の効果を同一の実験系で比較することである。 身体冷却には、これまで申請者が実験及び競技現場で用いてきたクーリングベスト着用による身体外部冷却や流動性の氷飲料を摂取するアイススラリーを用いた身体内部冷却を用いる。さらにそれらの成果を一流アスリートのパフォーマンス、暑熱環境下のスポーツ活動を安全に行う一般のスポーツ現場である学校での体育や部活動などすべての身体活動を含む場に応用し、スポーツ活動全般における熱中症事故を防ぐ啓発活動へと発展させることである。 これまでのヒトを用いた基礎実験では、暑熱環境下における持久性運動中の血液循環動態に及ぼす影響を検討するため、直腸温、前額部深部体温、全身の皮膚温、前腕部の皮膚血流などの体温調節系の指標に加え、循環調節の指標となる心拍出量や呼吸代謝反応、脳循環の指標となる中大脳動脈血流速度を新たに測定項目に加えることができた。暑熱環境では体温調節のため、皮膚に血流が分配されることにより脳血流が低下することが示唆された。また暑熱環境下における中強度持久性運動中の心拍数や心拍出量の変動も観察することができた。しかしながら、高体温と運動能力低下に関する本実験にあたり、被験者の確保を行ったが、十分なトレーニングを積んだ持久系アスリートなどの協力者数が当初の想定を下回り、予定していた実験を行うことができなないという課題も生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、体温・循環調節系手法を用いて暑熱環境下における持久性運動能力の低下の中枢性メカニズムや運動パフォーマンスについて検討することであった。そのため、体温・心血管系の測定項目に関する事前準備、各専門分野の研究分担者との打ち合わせ、高体温と運動能力低下に関する予備実験、予備実験内容の検討、高体温と運動能力低下に関する本実験の準備、本実験を行う予定であった。 基礎実験では、暑熱環境下の運動時において、循環動態の指標となる中大脳動脈血流速度及び心拍出量を新たに測定項目に加えることができた。 しかしながら、高体温と運動能力低下に関する本実験にあたり、被験者の確保を行ったが、協力者数が当初の想定を下回り、予定していた実験を行うことができなかった。さらに、研究成果に関しては、まだ学会発表や論文として公表できていないものもあるため課題も残された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、身体冷却を用いた新たな暑さ対策及び熱中症予防策を提案することを目的としたため、これまでは体温・心血管系の測定項目に関する事前準備、各専門分野の研究分担者との打ち合わせ、高体温と運動能力低下に関する予備実験、高体温と運動能力低下に関する実験を行ってきた。 今後は、暑熱環境下において、有酸素能力が非常に高いアスリートを用い、運動間における凍結アイススラリーを用いた身体内部冷却が体温・循環調節反応、持久性運動能力及び認知機能に及ぼす影響について検討を行う。 さらに、暑熱下フィールド実験においても、実際の球技競技中における生態負担度や主観的感覚の変動も測定する。 さらには、これまでの研究成果を学会発表や論文として発信していく。
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