• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

骨格筋再生・機能における機械受容イオンチャネル群の役割

研究課題

研究課題/領域番号 22H03484
配分区分補助金
研究機関静岡県立大学

研究代表者

原 雄二  静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60362456)

研究分担者 内田 邦敏  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (20581135)
鈴木 美希  静岡県立大学, 薬学部, 助教 (00740200)
村上 光  静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50963518)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード機械受容イオンチャネル / 骨格筋再生 / 筋幹細胞(筋衛星細胞)
研究実績の概要

骨格筋線維は成体でも極めて高い再生能を有しており、過剰な力負荷に伴う筋線維へのダメージに応じて筋線維を新生することで、骨格筋機能のみならず全身の恒常性を維持している。本研究では、筋再生を担う筋幹細胞がいかに活性化され、筋芽細胞の産生を経て筋線維の新生がもたらされるのかということに着目し研究を進めてきた。特に筋再生過程における「物理的な力感知に関わるイオンチャネル群(機械受容イオンチャネル)」を中心として、細胞力覚機構の役割解明を通じ、細胞力覚機構がいかに幹細胞の機能調節を行い、筋再生過程を統御し筋恒常性を維持するか解明を目指してきた。
まず我々はこれまでの研究の継続として、膜張力感知イオンチャネルPIEZO1に着目した。PIEZO1は筋幹細胞の増殖過程、とくに筋幹細胞の分裂過程に重要な役割を果たすことを見出してきた。さらに同チャネルについて、筋幹細胞でも高発現する細胞群、低発現を示す細胞群がみられ、幹細胞の不均一性を生み出すことで、継続的な筋再生をもたらす可能性が示唆された(論文投稿準備中)。
また筋幹細胞における機械受容チャネルの発現分布を検討したところ、種々の環境変動により活性化されるTRPチャネルファミリーのうちいくつかのチャネル群の高発現がみられた。それらについて遺伝子欠損マウスの作出を試みたところ、あるイオンチャネルの欠損により、筋再生能の著しい低下を呈した。RNA-seq解析ならびに単離筋幹細胞の性状解析の結果、同欠損マウスでは筋分化関連因子や細胞周期調節因子の発現減少とともに、細胞増殖能の顕著な低下が認められた(論文投稿準備中)。以上、すくなくとも3種類の機械受容イオンチャネル群が協働的に筋幹細胞にて作用し、周辺の微小環境変動を感知することで、秩序だった筋再生をもたらすことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの結果、機械受容イオンチャネルPIEZO1とともに、筋幹細胞におけるイオンチャネルの機能的な多様性について検討を行ってきた。候補チャネル群の遺伝子欠損マウスの解析も計画通りに進行しており、最終年度にてさらなる実験とともに、論文化を進める予定である。

今後の研究の推進方策

最終年度にて、機械受容イオンチャネル群の遺伝子欠損マウスの解析を終了させる。筋損傷後の再生能について、組織学的解析とともに、単離筋幹細胞の性状解析(筋幹細胞の増殖能、分裂能、分化能等)を検討する。また遺伝子レベルの解析としてRNA-seq解析を行い、それぞれのイオンチャネル群がいかなる機能を有するのか解明する。また、筋疾患モデルマウスmdxとの掛け合わせにより、筋疾患に対する機械受容チャネル群の役割解明を行う。これらの研究を遂行し、論文化を図る。
遺伝子欠損マウスの解析とともに、イオンチャネルに対する既知のアゴニスト、アンタゴニストを用いて筋再生への影響を検討することで、筋再生、筋萎縮、筋疾患に対する創薬研究についても推進したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 機械受容イオンチャネルによる骨格筋幹細胞の活性化制御機構2023

    • 著者名/発表者名
      平野航太郎,北嶋康雄,小野悠介, 森泰生,原雄二
    • 学会等名
      第9回日本筋学会学術集会
  • [学会発表] The mechanosensitive ion channel PIEZO1 promotes satellite cell function in muscle regeneration.2023

    • 著者名/発表者名
      Kotaro Hirano, Yuji Hara
    • 学会等名
      MBI Conference 2023: Mechanobiology in Health and Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] 骨格筋再生における機械受容イオンチャネルの役割2023

    • 著者名/発表者名
      平野航太郎,村上光,原雄二
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 招待講演
  • [産業財産権] PIEZO1阻害剤2023

    • 発明者名
      原雄二,稲井誠,鈴木美希
    • 権利者名
      静岡県公立大学法人
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-205145

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi