研究課題/領域番号 |
22H03493
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
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研究分担者 |
藤本 敏彦 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00229048)
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00333477)
橋本 佑斗 日本体育大学, 体育学部, 助教 (00896871)
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
岡本 孝信 日本体育大学, 体育学部, 教授 (40330518)
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40825858)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 運動 / 認知機能 / 電気刺激 |
研究実績の概要 |
本年度に行った研究は大きく分けて2つある.1つ目は随意運動と骨格筋への電気刺激の組み合わせによる認知パフォーマンスへの影響の検証であった.これは,骨格筋への電気刺激単独による認知パフォーマンスへの影響と随意運動と電気刺激の組み合わせによる認知パフォーマンスへの影響を比較することで,本研究の課題である認知機能に有効な運動の本質を探ることが大きな目的であった.その結果,下腿および下肢への広範囲の骨格筋群の電気刺激に随意運動である腕エルゴメーターでの運動により人の認知パフォーマンスに向上が見られることが明らかになった.この研究では,運動による認知パフォーマンスの向上に脳内での神経活動が重要な役割を示すことを明らかにし,これまでの運動と認知機能に関する研究に新しい観点をもたらした.また,認知パフォーマンスを向上させる随意運動と電気刺激の組み合わせに関する実験プロトコールを確立したという点で大きな成果であると言える.2つ目は骨格筋への電気刺激トレーニングの効果を検証することであった.特に,骨格筋への電気刺激トレーニングの効果を随意運動である抵抗性運動トレーニングの効果と比較することで,電気刺激トレーニングの特性を明らかにすることを目的とした.このトレーニング研究の結果から骨格筋への電気刺激が筋肥大にもたらす効果の特徴を明らかにすることができた.さらに,骨格筋への電気刺激トレーニングが血管の内皮機能についても有益な効果をもたらす可能性を示唆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究から得られた主な成果は以下の通りである.1)一過性の骨格筋への電気刺激では認知パフォーマンスに変化は見られないが,一過性の骨格筋への電気刺激に腕エルゴメーターによる運動を加えた場合は認知パフォーマンスの向上が見られることが明らかとなった.2)骨格筋への電気刺激でも抵抗性運動トレーニングと同じように筋力の向上および筋肥大が見られること,そして電気刺激トレーニングがもたらす筋肥大には肥大がみられやすい部位に特徴がみられることが明らかになった.3)骨格筋への電気刺激トレーニングにより,血管内非機能に向上が見られる可能性が示された.4)高強度運動と人の認知パフォーマンスに関する内容を総説としてまとめた.これらの研究成果は,日本体力医学会などの学会で発表を行うとともに,その一部は論文として公表した.本年度は,骨格筋への電気刺激に関する研究の開始時期が当初の予定よりやや遅れたものの,電気刺激と随意運動の組み合わせの研究の進展など最終的には十分な成果を得ることができたと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を受けて,本研究の課題である認知機能に有効な運動の本質を探ることを目的とした研究を継続していく計画である.特に,次年度以降は,行動学データに加えて,運動により認知パフォーマンスをもたらすメカニズムについて検討を行う必要があると考えられる.併せて,骨格筋への電気刺激が生体にもたらす影響についても継続して検討していく必要があると考えられる.
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