• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

心拍リズムに基づく情報サンプリング機構の発達に関する生理心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H03494
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

磯村 朋子  名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (20771926)

研究分担者 小林 恵  新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70781227)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード心拍リズム / 発達 / 自己身体認識 / 視線運動
研究実績の概要

脳は外界由来の情報と自己身体由来の情報を統合しながら統一的で整合的な世界像と自己像を構築している。近年の研究から、私たちは心臓の拍動のリズムをもとに外界の情報を効率よくサンプリングしている可能性が示唆されているが、その仕組みが形成される早期発達過程については全くわかっていない。本研究では、心拍リズムに基づく能動的な情報サンプリング機構は、生後7ヶ月から2年頃までに見られる段階的な自己身体認識の発達と共に構築されていくのではないかと仮説を立て、様々な行動・神経・生理指標を用いてそれを検証することを目指す。
2022年度は、能動的情報サンプリング機構の解明のための研究デザインと手法を確立することを目的とし、まずは成人を対象として研究を進めた。視線計測装置を用いて参加者の視線をリアルタイムで解析し、提示された画像内の固視点周辺のみがクリアに表示されるような仕組みを導入した。これにより、参加者が能動的に目を動かして画像内の情報をサンプリングすることを促す課題(サーチライト課題)を作成することに成功した。この課題を用いて収集した成人のデータを解析し、次年度以降に結果をまとめる予定である。
それと並行して、乳幼児を対象とした実験の実施にも努めた。乳児の心拍信号をリアルタイムで解析し、それに同期/非同期させて提示された視聴覚刺激に対する乳児の反応を計測した。その結果、乳児は生後6ヶ月頃から同期刺激よりも非同期刺激を選好するようになることが示された。この結果は、乳児が心拍信号と視聴覚信号の統合に基づいて行動を変調させる仕組みを生後半年ごろから獲得していることを示しており、内受容感覚と外受容感覚の統合に基づく身体的自己の形成過程に重要な示唆を与える。本結果は学会等で発表した他、国際学術雑誌に投稿予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は課題設定や課題作成に困難が伴う可能性が想定されたが、技術的問題をクリアし、予定通り課題作成を完了させてデータ収集を開始することができた。
さらに、様々な調整を経て乳児を対象とした研究を実施するための準備を順調にすすめ、無事に所属大学内で赤ちゃんラボの運営を開始することができた。
乳児を対象とした研究はすでに学会発表や招待講演などで成果を公表しており、論文もまもなく投稿できる見込みであることから、本年度はおおむね予定どおりに研究を進捗できていると判断した。

今後の研究の推進方策

来年度は、成人を対象とした研究のデータ分析をすすめ、結果をまとめる。さらに、それをもとに同様の課題で乳幼児を対象とした研究の実施に取り組む。これまでに得られた結果を論文にまとめ国際雑誌に投稿し、受理されることを目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Electrocardiographic activity depends on the relative position between intimate persons2024

    • 著者名/発表者名
      Mukai Kae、Isomura Tomoko、Onagawa Ryoji、Watanabe Katsumi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 ページ: 4281

    • DOI

      10.1038/s41598-024-54439-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cultural Differences in Interoceptive Accuracy: Comparison Between Japan and Europe2023

    • 著者名/発表者名
      Ubukata Sakina、Watanabe Katsumi、Isomura Tomoko
    • 雑誌名

      Japanese Psychological Research

      巻: 65 ページ: 294~309

    • DOI

      10.1111/jpr.12468

    • 査読あり
  • [学会発表] 内受容感覚の理解に向けた発達的検討2023

    • 著者名/発表者名
      磯村朋子
    • 学会等名
      第41回日本生理心理学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Developmental Origins of Interoceptive Processing2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Isomura
    • 学会等名
      International Symposium on Predictive Brain and Cognitive Feelings
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 内受容感覚の発達過程を探る2023

    • 著者名/発表者名
      磯村朋子
    • 学会等名
      日本赤ちゃん学会2023
    • 招待講演
  • [学会発表] Early development of interocepGon: towards the well-being of mother and infants2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Isomura
    • 学会等名
      ECogS2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Cardiac Afferent Activity Modulates the Perceived Intensity of Emotional Faces in School-Age Children2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Isomura, Katsumi Watanabe
    • 学会等名
      International Convention of Psychological Science (ICPS) 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 視線コミュニケーションと内受容感覚2022

    • 著者名/発表者名
      磯村朋子
    • 学会等名
      日本発達神経科学会2022
    • 招待講演
  • [図書] からだがかたどる発達2024

    • 著者名/発表者名
      根ヶ山光一 , 外山紀子
    • 総ページ数
      464
    • 出版者
      福村出版
    • ISBN
      978-4571230691

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi