研究課題/領域番号 |
22H03498
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中川 剣人 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (80735457)
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研究分担者 |
MILOSEVIC MATIJA 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50840188)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | MRI / 脊髄反射 / 相反抑制 / 陸上競技 |
研究実績の概要 |
本年度は、競技力との関連や種目ごとの特徴を明らかにすることを目的に、競技力を定量しやすい陸上競技選手を中心に、MRIにて脳機能・構造、電気刺激により脊髄神経回路機能を測定することを試みた。 MRI測定では、日本代表レベルから学生レベルまで70名の多様な種目の陸上競技選手を対象として、全脳の機能的結合、灰白質構造、白質構造、運動関連領域の脳内代謝物質濃度を測定した。今後は100名程度までデータを追加し、種目の違いによらず競技力に関与する脳領域、種目の違い依存的な脳領域を検討する解析を進めていく。 また、大学トップレベルの陸上競技短距離選手を対象として、彼らの優れたスプリントパフォーマンスに関与する脊髄神経回路を検討することを目的とした実験を行った。経皮的に腰髄を電気刺激することで、短距離走に重要な大腿筋の脊髄反射を計測した。電気刺激強度の変化に伴う脊髄反射振幅の変化をリクルートメントカーブとして記録し、リクルートメントカーブの最大傾斜を求め、大腿筋脊髄反射の動員特性として評価した。その結果、大腿二頭筋においては、リクルートメントカーブの最大傾斜は短距離群のほうが対照群よりも有意に大きいことが明らかとなった。つまり、短距離選手は大腿筋の反射による運動出力変化を素早く行える可能性を示唆する。また、安静時に大腿直筋のIa感覚神経への刺激や大腿直筋の随意収縮による大腿二頭筋への相反抑制機能についても評価した。その結果、安静時や等尺性随意収縮時においては、大腿直筋から大腿二頭筋への相反抑制の程度は短距離選手群と対照群で違いが見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの科研費若手研究にてMRIを用いてアスリートの脳機能・構造を検討する準備を整えることができていたため、本年度は順調に本実験を開始できた。 また、短距離選手の脊髄神経回路の検討を目的とする実験やデータ解析が想定以上に迅速に進行できたため、年度内から論文執筆に取り掛かることができた。
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今後の研究の推進方策 |
MRI実験では、引き続きデータ取得を進めていき、目標人数に達した段階でデータ解析を開始する。解析が完了し次第、論文執筆に取り掛かる。 脊髄反射実験においては、本年度中に大腿筋の相反抑制評価についての論文と短距離選手の大腿筋脊髄反射動員特性の論文を投稿することを目指す。 また、短距離選手の素早いスタートに関連する神経基盤を検討するため、脳波を用いて聴覚情報の処理過程を明らかにする実験を実施する予定である。
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