研究課題
昨年度に構築したPremature senescenceをTet-Onシステムによって誘導できる血管内皮細胞(TERF2DN-Tet-On HUEhT-2細胞)を用いて「老化予防」化合物スクリーニングを継続して実施した。東京大学創薬機構が有するValidated Compound Libraryを使用し、BrdU assayによる細胞増殖能評価によって血管内皮細胞老化を予防する化合物を探索した。最終的に15のヒット化合物を選抜しこれら化合物の抗老化作用を検討したが、細胞増殖能を維持するだけで明らかな老化抑制作用を有する化合物は見つからなかった。②血管内皮細胞のPremature senescence寄与度の解析:高齢マウスの肺から血管内皮細胞をMACSで単離し、得られた細胞を用いてSPiDER-beta-GAL染色で老化細胞の検出を試みたが、バックグラウンドの蛍光が強くて老化・非老化細胞を分離することは困難であった。③血管内皮細胞老化による血管新生能低下の分子機構解明:野生型マウスと血管内皮特異的老化マウスを用いて大腿動脈結紮による重症化し虚血モデルを作成し、虚血肢の血流改善をレーザードップラーで経時的に解析した。その結果、血管内皮特異的老化マウスでは虚血誘導性の血管新生が有意に減弱していることがわかった。HUVECを用いてTRF2DN過剰発現による老化内皮細胞を作成し、コントロールの内皮細胞と比較検討した結果でも内皮細胞の遊走能やマトリゲル上でも管腔形成能は老化内皮細胞で有意に減弱していた。興味深いことに老化内皮細胞では解糖系を阻害するTIGARの発現が顕著に上昇しており、老化に伴うエネルギー代謝異常が血管新生能の低下と関連する可能性が示唆された。
3: やや遅れている
アッセイ系が思ったようにワークしなかったために一部研究に関しては計画通りの研究が実施できなかった。その他の研究については計画していた実験を行ったが、想定していたような成果を上げることが未だできていない状況である。
基本的には計画した研究を継続して実施していく予定である。得られた結果が想定外にnegativeであった場合は一部計画を変更して効率的に研究を進めるよう、柔軟に対応していく。
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GLIA
巻: 72 ページ: 51-68
10.1002/glia.24461.