• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

次世代がん免疫療法に資するパルミチン酸代謝による骨髄由来免疫抑制細胞の制御

研究課題

研究課題/領域番号 22H03533
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

立花 雅史  大阪大学, 大学院薬学研究科, 特任准教授(常勤) (80513449)

研究分担者 小山 正平  大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (80767559)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードMDSC / パルミチン酸 / がん免疫
研究実績の概要

これまでの検討により、パルミチン酸による骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid-derived suppressor cell; MDSC)の免疫抑制機能の減弱には脂肪酸取り込みトランスポーターとして知られているFAT (Fatty acid translocase; CD36)が重要であることを見出した。また、パルミチン酸をリガンドとする自然免疫受容体であるTLR (Toll-like receptor)2やTLR4のノックアウト(KO)マウスを用いた解析から、これらの分子の関与はないことを明らかにした。すなわち、細胞表面受容体(TLR2およびTLR4)からのシグナルの関与は低く、細胞内へのパルミチン酸の取り込みが、MDSCの免疫抑制機能の減弱には重要であることが示唆される。
細胞内へ取り込まれたパルミチン酸は、β酸化や各種脂質代謝物へと代謝される。また一方で、各種遺伝子発現を制御することや、パルミトイル化による翻訳後修飾に利用されることも報告されている。以前実施したRNA-seq解析の結果からは、パルミチン酸による大きな遺伝子発現は認められなかったことから、今年度はβ酸化に着目した。β酸化はミトコンドリアで行われるが、脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みはCPT1によって行われる。CPT1阻害剤を用いた検討から、パルミチン酸によるMDSCの免疫抑制機能の減弱は、β酸化には依存しないことを見出した。次年度は、他の経路の可能性について検討を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

細胞内へ取り込まれたパルミチン酸は、β酸化や各種脂質代謝物へと代謝される。また一方で、各種遺伝子発現を制御することや、パルミトイル化による翻訳後修飾に利用されることも報告されている。以前実施したRNA-seq解析の結果からは、パルミチン酸による大きな遺伝子発現は認められなかったことから、β酸化に着目した。β酸化はミトコンドリアで行われるが、脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みはCPT1によって行われる。CPT1の関与を明らかにするため、その阻害剤であるEtomoxirを用いた。MDSC分化誘導系において、パルミチン酸と同時にEtomoxirを添加し、得られたMDSCの免疫抑制機能について検討したところ、Etomoxirの有無によらず、パルミチン酸によるMDSCの免疫抑制機能の減弱が認められた。このことから、β酸化以外の経路がパルミチン酸による制御に重要であることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

今年度の検討から、β酸化以外の経路が重要であることを見い出したことから、パルミトイル化による翻訳後修飾について検討を進めていく予定である。
CD36 KOマウスを用いた検討により、脂肪酸の取り込み過程が必須であることを見出している。そこで、CD36 KOマウスにB16-F10がん細胞を移植し、パルミチン酸飼料を摂食させることで、その抗腫瘍効果におけるCD36の重要性、すなわち脂肪酸取り込み過程の重要性を明らかにする。
抗PD-1抗体治療に抵抗性を示すB16-F10担がんマウスに抗PD-1抗体を腹腔内投与し、パルミチン酸飼料摂食との併用効果について評価する。また、別のがん細胞を用いた検討も行い、パルミチン酸飼料摂食による抗腫瘍効果が普遍的なものであるかを明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Modified method for differentiation of myeloid-derived suppressor cells in vitro enhances immunosuppressive ability via glutathione metabolism2023

    • 著者名/発表者名
      Zhou Haoyang、Xie Zhiqi、Morikawa Naosuke、Sakurai Fuminori、Mizuguchi Hiroyuki、Okuzaki Daisuke、Okada Naoki、Tachibana Masashi
    • 雑誌名

      Biochemistry and Biophysics Reports

      巻: 33 ページ: 101416~101416

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2022.101416

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Targeting GGT1 Eliminates the Tumor-Promoting Effect and Enhanced Immunosuppressive Function of Myeloid-Derived Suppressor Cells Caused by G-CSF2022

    • 著者名/発表者名
      Xie Zhiqi、Kawasaki Takahiro、Zhou Haoyang、Okuzaki Daisuke、Okada Naoki、Tachibana Masashi
    • 雑誌名

      Frontiers in Pharmacology

      巻: 13 ページ: 873792

    • DOI

      10.3389/fphar.2022.873792

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] GGT1-dependent or -independent regulation of myeloid-derived suppressor cells by G-CSF2022

    • 著者名/発表者名
      Zhiqi Xie, Haoyang Zhou, Daisuke Okuzaki, Naoki Okada, Masashi Tachibana
    • 学会等名
      JSICR/MMCB 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] G-CSFによるGGT1依存的な骨髄由来免疫抑制細胞の免疫抑制能増強2022

    • 著者名/発表者名
      立花 雅史、謝 智奇、周 浩洋、奥崎 大介、岡田 直貴
    • 学会等名
      第8回がんと代謝研究会
  • [学会発表] HDACによる骨髄由来免疫抑制細胞の制御2022

    • 著者名/発表者名
      立花 雅史
    • 学会等名
      第4回がんと代謝研究会・若手の会
  • [学会発表] HDAC inhibitors inhibit invasion of monocytic myeloid-derived suppressor cells into hepatocellular carcinoma2022

    • 著者名/発表者名
      Masashi Tachibana, Daisuke Okuzaki, Naoki Okada
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi