研究課題/領域番号 |
22H03597
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 一般財団法人総合科学研究機構 |
研究代表者 |
田中 譲 一般財団法人総合科学研究機構, 総合科学研究センター, 特任研究員 (60002309)
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研究分担者 |
野口 孝文 北海道大学, 情報基盤センター, 訪問研究員 (20141856)
渡辺 毅 公立諏訪東京理科大学, 工学部, 特任准教授 (40726676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 六角形格子座標 / 六角形格子インデクシング / 六角形格子階層分割 / 離散的グローバルグリッドシステム / 量子化軌跡データ |
研究実績の概要 |
課題Aと課題Bの理論基盤の研究は昨年度に完了。 課題Cでは、面心立方格子を用いた3次元への拡張に関しては、基礎理論を前年度に前倒しで確立した。本年度は、稠密6方格子を用いて、口径が2の3k乗の階層分割可能3次元格子座標の環論を確立しインデックス規則を構築した。指数のビット長は3kビットになる。 課題DのDGGS(Discrete Global Grid System)への拡張は、令和6年度に実施予定であったが、前倒しで研究し、切頂20面体の20個の正六角形面と12個の正五角形面を六角形格子で分割することで、本手法のインデクシング法を拡張適用可能なことを示した。その際、正五角形の数は12のままであるが、正六角形の数が幾つになるかの一般式を明らかにした。球面への写像は次年度以降の課題である。 課題Eでは、渡辺が民間と連携して新たに開発した小型のELTRES IoT端末も導入し、これにも昨年度開発した軌跡データ圧縮法を実装し、実証実験に利用可能な端末台数を増やした。前年度までの実証実験対象に加え、ごみ収集と路線バスの走行を模した車両の準実時間軌跡モニタリングの実証実験を札幌と諏訪で行った(田中、野口、渡辺)。バスの取得軌跡を用いた到着時間の予測技術を新たに研究開発した(渡辺)。3次元への拡張をファームウェアとして実装しドローンの軌跡モニタリングの実証実験を行った(野口)。 課題F(田中、野口担当)では、昨年度構築した、スマートオブジェクトの近傍領域を六角形格子座標系の口径で定義する近傍近接フェデレーション計算モデルを用い、触媒ネットワークに基づくアプリケーション・フレームワーク記述法を確立し、種々の応用への適用性を検証した。 課題Aから課題Eまでの成果をまとめ、コンピュータ・サイエンスにおける理論学術論文誌として評価が高いTheoretical Computer Scienceに発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すべての課題に関して、計画よりも早く進捗しており、特に課題Dは令和6年度に実施を予定していたが、切頂20面体の20個の正六角形面と12個の正五角形面を六角形格子で分割することで、本手法のインデクシング法を拡張適用可能なことを既に示した。その際、正五角形の数は12のままであるが、正六角形の数が幾つになるかの一般式も明らかにした。この結果の球面への写像は、近似解に関してはいくつかの手法が既に提案されており、それを用いることを予定している。厳密解に関してはこの分野の未解決問題で、解が存在するか否かも分かっていない。次年度以降に挑戦する。 これらの成果をまとめ、コンピュータ・サイエンスにおける理論学術論文誌として評価が高いTheoretical Computer Scienceに投稿したところ、高い評価を受け採択・出版された。
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今後の研究の推進方策 |
課題A、課題B、課題Cの理論基盤の研究は既に完了。 課題DのDGGS(Discrete Global Grid System)への拡張では、切頂20面体の各面を六角形と5角形に分割し、これを球面に射影することで12個の5角形と多数の六角形で球面を分割することは既に完了したが、この手法では、すべての六角形を合同にすることはできない。一般に球面を合同な12個の球面五角形と多数の合同な球面六角形に均等に分割することは未解決の課題であり、これまでには近似解のみが提案されている。次年度は厳密解を模索すると共に、より良い近似解を模索する。 課題Eの「提案する軌跡データ圧縮法を、ELTRES LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを用いた量子化軌跡データの取得に応用し、1分間に128bitの送信のみが可能という極めて制約された通信容量の下で、高分解能/高サンプル頻度の軌跡データ取得を実証的に実現」に関しては、令和4,5年度に続き、次年度は端末台数を増やし、より広域での連続軌跡の取得実験、ドローンや航空機などの3次元軌跡の取得実験を行う。 課題Fの「スマートオブジェクトの近傍領域を六角形格子座標系の口径で定義する近傍近接フェデレーション計算モデルの構築と地域BWAを用いた応用システムの研究開発」では、令和4年度に構築した、スマートオブジェクトの近傍領域を六角形格子座標系の口径で定義する近傍近接フェデレーション計算モデルを用い、令和5年度に構築した、触媒ネットワークに基づくアプリケーション・フレームワーク記述法を用い、多様なスマートオブジェクトが複雑に連携関係を変更していく種々の応用への適用を検証する。 さらに追加課題として、提案の六角形格子理論に基づき、六角形の周期境界条件を満たす関数の離散フーリエ変換の新定式化を目指し、2次元信号処理への応用とその有意性を検討する。
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