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2023 年度 実績報告書

高速な光学制御に基づく光線空間の圧縮撮像

研究課題

研究課題/領域番号 22H03611
配分区分補助金
研究機関名古屋大学

研究代表者

高橋 桂太  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30447437)

研究分担者 長原 一  大阪大学, データビリティフロンティア機構, 教授 (80362648)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード光線空間 / 圧縮撮像 / 符号化
研究実績の概要

カメラのフレームレートを超える高速な光学制御に基づく撮像方式に関して、主に以下の二つの成果を得た。
一つ目に、開口面と撮像面を同時に符号化する撮像方式に取り組んだ。まず、本方式において、2022年度までにハードウェアおよびアルゴリズムの構築が一通り完成している部分に関して、成果の取りまとめを行なった。さらに、撮像データから光線空間を復元するアルゴリズムにおいて、ニューラルレンダリング技術(NeRF)を組み込むことで機能を拡張し、有限の視点数からなる離散的な光線空間(多視点画像)を復元するだけではなく、連続的な光線空間を復元できるようにした。この拡張により、わずか1枚の符号化画像から高効率かつ高品質に自由視点映像を生成することが可能になった。
二つ目に、開口面の符号化とイベントカメラを組み合わせる光線空間の撮像方式に取り組んだ。まず、被写体が静止している場合を対象に検討を進め、提案手法と従来の符号化開口法(フレームベースカメラによるもの)との関係性を明らかにするとともに、大量の学習データを用いることで開口面の符号化パターンと光線空間の復元アルゴリズムの双方を深層学習の枠組みで最適化する手法を考案した。さらに、実際のハードウェアを用いた実験を通して、提案手法の有効性を確認した。また、被写体が動く場合についても基礎的な検討を進め、ハードウェア制約等を含めた課題を整理した。
これらに加えて、光線空間の冗長性の解明に取り組み、ニューラル表現を用いた光線空間の圧縮符号化や、学習用データセットに依存しない自己教師型学習による高速ビデオ・光線空間の復元について有用な成果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の成果は、当該分野で国内最大のイベントである画像の認識・理解シンポジウム2023においてショートオーラル発表の選定され、画像符号化シンポジウム・映像情報メディア処理シンポジウム2023において学生論文賞、International Workshop of Advanced Image TechnlogyにてBest Paper Awardを獲得するなど、国内外の学会において高い評価を得た。さらに、符号化開口とイベントを用いた撮像手法は、アイデアの先進性を高く評価され、当該分野の最難関であるIEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR) 2024(2024年度に発表予定)に採択された。

今後の研究の推進方策

カメラのフレームレートを超える高速な光学制御に基づく撮像方式に関して、主に以下の二つの項目に取り組む。
まず、符号化開口法とイベントカメラを用いた光線空間の撮像法をさらに発展させる。この撮像方式については、2023年度までに、静止した被写体を撮影対象として、ハードウェアおよびアルゴリズムの実装を一通り実現している。2024年度以降には、これまでの成果を学会において発表してフィードバックを得るとともに、ハードウェアおよびアルゴリズム両面の改善を検討し、提案手法をさらに洗練させる。さらに、撮影対象を静止した被写体から動きのある被写体へと拡張する。この拡張に伴う困難は、被写体の動きによる変化と光学系での符号化による変化の両者が混在してセンシングされる点にある。シミュレーションおよび実機実験を繰り返しつつ、ハードウェアおよびアルゴリズムの両面から有効な技術を模索する。
さらに、撮像データから光線空間を復元するアルゴリズム処理をさらに発展させ、学習データに依存しない自己教師型学習に基づく手法を確立することをめざす。自己教師型では、様々な被写体に個別に対応すればよくなるため、手法の柔軟性が高まり、復元画質においてもアドバンテージがあることが期待される。2023年度までの検討で明らかになったように、ニューラル・レンダリングのための表現形式(NeRF)は、3次元的な一貫性を保証する強力な制約として機能する。本研究の独自の視点として、光学系の高速制御による撮像側での符号化とNeRFによる光線空間表現の組み合わせの可能性を、自己教師型学習の枠組みにおいて模索する。
これら二項目に加え、圧縮撮像の根幹をなす光線空間の冗長性の解明や、その冗長性と深く関わる光線空間の表現形式についても多面的に検討する。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] [Paper] Compressive Acquisition of Light Field Video Using Aperture-Exposure-Coded Camera2024

    • 著者名/発表者名
      Mizuno Ryoya、Takahashi Keita、Yoshida Michitaka、Tsutake Chihiro、Fujii Toshiaki、Nagahara Hajime
    • 雑誌名

      ITE Transactions on Media Technology and Applications

      巻: 12 ページ: 22~35

    • DOI

      10.3169/mta.12.22

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Reconstructing Continuous Light Field From Single Coded Image2023

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa Yuya、Takahashi Keita、Tsutake Chihiro、Fujii Toshiaki
    • 雑誌名

      IEEE Access

      巻: 11 ページ: 99387~99396

    • DOI

      10.1109/ACCESS.2023.3314340

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Unsupervised Framerate Upsampling from Events2024

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Okuno, Chihiro Tsutake, Keita Takahashi, Toshiaki Fujii
    • 学会等名
      International Workshop on Advanced Image Technology 2024 (IWAIT 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] Toward Neural LightField Compression2024

    • 著者名/発表者名
      Yuya Ishikawa, Chihiro Tsutake, Keita Takahashi, Toshiaki Fujii
    • 学会等名
      International Workshop on Advanced Image Technology 2024 (IWAIT 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] イベントと自己教師学習による画像のぶれ除去2023

    • 著者名/発表者名
      田村 大輔, 奥野 広之, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像符号化シンポジウム・映像メディア処理シンポジウム(PCSJ2023・IMPS2023)
  • [学会発表] イベント情報を用いた動画像の高フレームレート化 -座標ベースニューラル表現の長時系列への拡張-2023

    • 著者名/発表者名
      奥野 広之, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像符号化シンポジウム・映像メディア処理シンポジウム(PCSJ2023・IMPS2023)
  • [学会発表] 符号化開口法による光線空間撮像におけるイベントカメラの有用性2023

    • 著者名/発表者名
      羽渕 柊志, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像符号化シンポジウム・映像メディア処理シンポジウム(PCSJ2023・IMPS2023)
  • [学会発表] 光線空間の圧縮撮像における事前学習不要のアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      石川 裕也, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像符号化シンポジウム・映像メディア処理シンポジウム(PCSJ2023・IMPS2023)
  • [学会発表] 単眼画像の3次元化を可能とする付加情報の階層化2023

    • 著者名/発表者名
      今津 良祐, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像符号化シンポジウム・映像メディア処理シンポジウム(PCSJ2023・IMPS2023)
  • [学会発表] 符号化開口とイベントによる動的光線空間の効率的撮像法2023

    • 著者名/発表者名
      羽渕 柊志, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] 動画像の高フレームレート化におけるイベント情報の有効性2023

    • 著者名/発表者名
      奥野 広之, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] 単眼画像と少量の付加情報を用いた3次元映像生成手法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      今津 良祐, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      映像情報メディア学会年次大会
  • [学会発表] 符号化開口とイベントによる光線空間の高効率撮像2023

    • 著者名/発表者名
      羽渕 柊志, 高橋 桂太, 水野 良哉, 都竹 千尋, 藤井 俊彰, 長原 一
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)
  • [学会発表] 光線空間を単眼画像と付加情報によって表現する学習ベースの圧縮符号化2023

    • 著者名/発表者名
      今津 良祐, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)
  • [学会発表] 単一の符号化画像からの連続的な光線空間の再構成2023

    • 著者名/発表者名
      石川 裕也, 高橋 桂太, 水野 良哉, 佐藤 千幸, 都竹 千尋, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)
  • [学会発表] イベント情報を用いた動画像の高フレームレート化における座標ベースニューラル表現の活用2023

    • 著者名/発表者名
      奥野 広之, 都竹 千尋, 高橋 桂太, 藤井 俊彰
    • 学会等名
      画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2023)
  • [学会発表] [チュートリアル招待講演]数理モデルからデータ駆動最適化へ ~ ライトフィールドの圧縮撮像はどう変わったか ~2023

    • 著者名/発表者名
      高橋桂太
    • 学会等名
      映像情報メディア学会, 3DMT研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 自由視点映像のためのイメージング技術 ~ 光学制御と深層学習の融合の先に ~2023

    • 著者名/発表者名
      高橋桂太
    • 学会等名
      映像情報メディア学会, 2023年冬季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 光線空間の圧縮撮像:光学系と深層学習の融合によるアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      高橋 桂太
    • 学会等名
      日本オプトメカトロニクス協会, デジタル・イメージング技術部会, Web講演会
    • 招待講演
  • [備考] Computational Camera Project (New)

    • URL

      https://www.fujii.nuee.nagoya-u.ac.jp/Research/CompCam2/

  • [備考] Event-based Light Field Project

    • URL

      https://www.fujii.nuee.nagoya-u.ac.jp/Research/EventLF/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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