研究課題/領域番号 |
22H03613
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
本谷 秀堅 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60282688)
|
研究分担者 |
三好 寛明 久留米大学, 医学部, 准教授 (30647780)
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
Kugler Mauricio 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70456713) [辞退]
横田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80733964)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 拡散モデル / 悪性リンパ腫 / 説明可能性 / ラベルノイズ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、悪性リンパ腫の病型ごとに固有な、細胞組織の異型性を定量評価するための形態特徴を明らかにすることである。2022年度にはH&E染色病理画像からの病型識別器を構築した。続いて、Concept Attributionの枠組みを採用し、個々の病理画像の属性を維持しつつサブタイプのみが異なる反事実画像を生成するアプローチを採用した。すると、既存法では病理学的に妥当な反事実画像を生成できないことを見いだした。また同時に、近年画像のfoundation modelが相次いで公開され始めている。2023年度は病理学的に妥当な反事実画像を生成する手法の開発に力を入れるとともに、foundation modelの応用も視野にいれて、細胞組織の異型性を定量評価するための形態特徴を明らかにするための方法論確立を進めることに取り組んだ。反事実画像生成については病理顕微鏡画像の拡散モデルを構築し、Follicular lymphoma (FL) のグレードを条件とするguidanceを利用する手法を開発した。その結果、反事実画像の生成に成功した。生成した画像の病理学的な妥当性の評価は今後の課題とする。また今年度は細胞核をセグメンテーションし、個々の細胞核の種別を識別する器械を構築した。細胞核の種別識別は病理医にも容易ではない問題であり、細胞核の種別を示すラベルにノイズが混入することを見いだした。そこで、ラベルノイズを前提とする手法を導入し、識別精度を改善した。また、細胞核の種別のうちCentroblastが濾胞内の細胞核群に占める割合がFLのグレードの評価に大きく寄与できることを見いだした。この結果をまとめ、ジャーナル誌に投稿した。採否が判明するのは2024年度である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「細胞組織形態」に注目する当初計画に変更はないが、個々の細胞核を識別するアプローチに軸足を移すこととした。このこことにより、濾胞を構成する細胞核の種別の比率を定量評価できるようになった。この種別の比率は悪性リンパ腫のサブタイプやグレードに関するWHOの基準とも矛盾しない。このアプローチによる成果が出始めているため、進捗は順調だと判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度であり、現在主導である濾胞セグメンテーションを自動化し、細胞核セグメンテーションの精度を改善しつつ、個々の細胞核の種別識別を高度化することに取り組む。これらの技術は当初目指していた「悪性リンパ腫の異型性解析基盤」を直接構成する。
|