研究課題/領域番号 |
22H03626
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉元 俊輔 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (00646755)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生体イメージング / ハプティクス / インピーダンストモグラフィ / 知覚特性 |
研究実績の概要 |
遠隔操作ロボットにおける操作性の向上,バーチャルリアリティ体験の質の向上,身体拡張による運動機能の向上に向け,力触覚提示技術に対する期待が高まっているが,力触覚刺激に対する感覚の定量化や因果関係の理解は不十分であり,効果が限定的であった.本研究では,力触覚情報の時空間伝播に着目し,身体構造や生体信号から人の触知覚システムを理解し,力触覚提示がもたらす効果を拡張するための設計指針を明らかにすることを目的とする.そのため,研究代表者が独自に開発を進めてきた機能的トモグラフィ技術と力触覚提示技術を高度に融合・拡張することによって簡便で非侵襲な触知覚イメージング技術を創成する. 2022年度は,まず力触覚イメージングのための機能的トモグラフィの高機能化に取り組み,その技術を基に具体的な触知覚システムの理解と応用に関する研究を行った.具体的には,前腕の血流量分布をイメージングするためのトモグラフィ技術について,計測の周波数に関する検討を中心にシミュレーションと実機で評価を行った.また,身体に装着可能なウェアラブル触覚センサの開発を進め,圧力分布の計測可能性を実証した.さらに,トモグラフィ式触覚センサの電極配置を最適化する方法や,ニューラルネットワークを利用した高性能化などにも取り組み,その有効性を示すことができた.一方,触知覚システムの理解と応用については,新しい触覚提示デバイスを開発し,刺激に対する知覚特性の評価を実施した.特に,空気圧アクチュエータを利用した低周波接触力の提示について,その刺激と知覚の特性の関係を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,トモグラフィ技術について,新たに血流イメージングとウェアラブル圧力分布センサの開発に挑戦し,いずれもその可能性を示すことに成功した.また,従来のセンサの空間性能を改善するために新しいアルゴリズムの導入を行い,大幅な性能改善が得られることを明らかにした.また,触覚刺激提示デバイスの開発として,空気圧を利用した方法論を新たに導入し,知覚特性の評価に利用できることを示すことができた.以上から,力触覚イメージングのための要素技術開発を着実に進められたことから,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
トモグラフィについては,これまでに開発した技術の評価と,応用システムの開発に向けた設計を進める.知覚特性の評価については,新たなデバイス開発を通してより効果的な特性評価が可能なシステムを構築し,被験者実験を実施する.
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