研究課題/領域番号 |
22H03629
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
野嶋 琢也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10392870)
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研究分担者 |
大岡 貴史 明海大学, 歯学部, 教授 (30453632)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 触覚 / バーチャルリアリティ / 咀嚼 / 電気刺激 / 力覚 |
研究実績の概要 |
今年度は,口腔内電極固定手法ならびに咀嚼機能計測システムの開発,および歯根膜刺激・反応モデル構築を実施した. 口腔内電極固定については,まず非咀嚼環境を想定し,フレキシブル基板電極とマウスピースによる口腔内電気刺激の手法を構築した.これにより提案の電気刺激手法に関する安定した評価実験を実施できる環境が構築された.咀嚼機能計測については,マーカに基づく顔表面特徴量の画像計測を実施し,マーカレスでの下顎運動計測にむけての必要となる情報の確認を行った.あわせて電気刺激による咀嚼行動への影響を検証するために,摂食機能障害患者と健常成人との間での喉頭挙上等前頸部運動の非接触計測および評価を実施した. その結果摂食機能障害者では喉頭隆起の垂直方向の運動で顕著な差が生じ有為に前頸部運動量が減じることが明らかになった.さらに嚥下内視鏡検査,嚥下造影検査の結果と喉頭隆起の運動との関連を調査したところ,特に「飲みにくい」という感覚では嚥下後の咽頭残留がその感覚に関与することが明らかとなった.この結果は電気刺激による咀嚼行動への影響評価への活用を想定している.また歯根膜刺激・反応モデル構築にむけて,歯ならびに歯槽骨,歯根膜等の部位を模擬したモデルを構築し,電気刺激に際しての電場シミュレーション可能な環境を構築した.シミュレーションを通じて表面からの刺激電場が歯根膜部まで到達している状況であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で概ね順調にしていると考えられる. 2022年度に実施を計画していた研究項目のうち,まず(A)の歯根膜触力覚受容器の動的刺 激手法の確立については,非咀嚼環境ながら安定して口腔内で経皮電気刺激手法を構築しており,最大45点の電極を適用可能な状況を実現している.ただし神経走行を考慮した刺激手法の構築については十分な進捗を得ることができなかった.歯根膜に関連する神経走行に関する資料に乏しく,とくに2022年度は図書館への物理アクセス制限も影響して,手探りでの対応が必要であったことが影響している.一方で神経走行情報が乏しい中でも,多電極化により,所望の感覚生成が期待される箇所を推定する技術について目処をつけられたため,この問題による遅れは十分取り戻せると判断している. 続いて(B)咀嚼機能計測システムの開発については,マーカレス下顎運動計測にむけた準備を完了している.実際にはマーカレス下顎運動計測の試行はしており,必要となる情報の精査をしている.2023年度は改めてマーカ付下顎運動計測を実施し,必要な精度を有するマーカレス下顎運動計測の実現を狙う.ただし本項目は当初2023年内に完了させる予定であったが,若干遅延しており,2023年度末ころまでずれ込むことが想定されている. (C)歯根膜触力覚と咀嚼機能に関する刺激・反応モデル構築については,電気刺激に関するシミュレーションモデルを構築し,刺激・反応モデル構築にむけた準備をすすめている段階であり,概ね予定通りである. 部分的には遅延が認められるものの,大きな問題には至っておらず,概ね順調であると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は引き続き(A) 歯根膜触力覚受容器の動的刺激手法の確立,(B) 咀嚼機能計測システムの開発,(C) 歯根膜触力覚と咀嚼機能に関する刺激・反応モデル構築について実施する. (A)の項目は本研究提案の基盤として位置づけられる.歯根膜触力覚受容器を安定して刺激するため基礎を確立し,刺激パターンと生成される触力覚感覚との関係性を明らかにすることを目指す.初年度の成果より,刺激のために考慮すべき神経分布,口腔内形状の個人差が大きいことから,2年目はより安定した刺激を生成するため,個人ごとの最適なキャリブレーションを含めた口腔内電気刺激手法を分担研究者とともに実施する予定である. (B)の項目は,(A)で開発した感覚刺激技術を用いた刺激に対する咀嚼行動への影響を検証するために実施される.初年度の成果よりマーカ付きならびにマーカレスでの下顎運動計測の基礎技術が開発された.また新たな技術として咀嚼運動の簡易計測手法を開発した.2年目はこれらの計測手法の安定性,計測精度それぞれの向上を行い,評価のための環境を整える. (C)の項目では,歯根膜触力覚受容器への多様な刺激に対応する,咀嚼機能への反応・影響の評価,両者の関係モデルの構築にむけた準備に着手する.初年度の成果を活用し,2年目は引き続き,刺激と計測を実施する上での問題点の抽出を目指す.
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