研究課題/領域番号 |
22H03663
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂東 麻衣 九州大学, 工学研究院, 教授 (40512041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | カオス / 非線形力学系 / 多体問題 / ポアンカレ写像 |
研究実績の概要 |
多体力学系における低エネルギー軌道および低推力軌道の設計および制御問題はアストロダイナミクス(応用宇宙力学)の最重要課題であるが,いまだヒューリステックな最適化に基づく個別の問題毎の軌道設計が行われている.このため,「カオス的な振る舞いをどのように理解・一般化し,制御に応用することができるのか?」が本研究課題の核心をなす学術的な問いである.これまで,上記の問題意識を根底におきながら,いくつかの基礎的な問題について検討を進めた.まず,ポアンカレマップと数値解析を組み合わせた力学系の解析を行なった.ペリアプシス(近点)というのは軌道力学の言葉で,軌道が最も中心天体に近づく点を意味する.ペリアプシスマップはポアンカレマップの一種で,連続的な軌道とペリアプシスを横切る瞬間との共通部分の情報を抽出した写像で,元の連続力学系より1次元低い離散的な力学系となる.非線形力学系のカオス的な遷移現象を,多体問題のペリアプシスマップ上のカオスの海において起こる“ローブ”とよばれる安定多様体と不安定多様体に囲まれた領域の輸送構造を詳細に調べた.特に,数値解析を用いてペリアプシスマップにおけるキック関数を抽出した. 次に,スタンダーダマップとよばれるハミルトン系の離散写像について解析を行なった.その結果,スタンダーマップにおいても同様のローブ構造が現れることが明らかとなった.さらに,スタンダードマップにおける非自明な不安定共鳴軌道を求め,その安定多様体,不安定多様体,ローブ構造を数値計算により求めた.多体問題の連続力学系と同様のローブを介した輸送構造の存在が明らかとなった.さらに,スタンダードマップを例に,ローブダイナミクスの確率的な外乱に対するロバスト性を評価するための初期検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたキック関数の抽出を行うことができた,
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今後の研究の推進方策 |
今後は,抽出したキック関数を機械学習により獲得する方法について検討を行う.さらに,ローブダイナミクスを利用した軌道設計について検討を行う.
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