研究課題/領域番号 |
22H03664
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
能島 裕介 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (10382235)
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研究分担者 |
増山 直輝 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 准教授 (00815607)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多目的最適化 / 知識獲得 / 進化計算 / クラスタリング |
研究実績の概要 |
本年度は実世界最適化問題の特徴解析,獲得された解集合の評価方法の検討,実問題を想定したアルゴリズムの開発を行った. (1)実世界最適化問題の特徴解析:目的関数や制約条件が数式のみで定義された実問題に対して,ランダムサンプリングおよび複数の進化型多目的最適化手法を用いた探索による膨大な解集合の獲得,さらに決定変数値および目的関数値の散布図行列による可視化方法を検討した.また,クラスタリング手法による可視化を検討した. (2)獲得された解集合の評価方法の検討:多数目的最適化問題では,進化型多目的最適化により得られた解集合の評価が困難である.これに対して,獲得された解集合のパレートフロントへの収束性と個体群の多様性を独立して評価する方法であるConvergence-Diversity PairとConvergence-Diversity Diagramを提案し,複数手法の探索性能評価を行った.さらに収束性と多様性の世代推移を比較する方法を提案した.また,二次元空間で可視化可能な高次元の制約付きマルチモーダル多目的最適化問題を提案し,制約を考慮した進化型多目的最適化アルゴリズムの比較を行った. (3)実問題を想定したアルゴリズムの開発:実問題のパレートフロントは歪な形状である可能性があり,そのようなパレートフロントにも対応できるようにトポロジカルクラスタリングに基づく分割ベースの進化型多目的最適化アルゴリズムの開発を行った.実問題のパレートフロント上の解には,同じ目的関数値でも異なる決定変数値を持つようなマルチモーダルな問題が存在する.そのような問題に対応できるマルチモーダル多目的最適化進化アルゴリズムの開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績概要に示した3つのトピックに関して進捗状況を述べる. (1)実世界最適化問題の特徴解析:目的関数や制約条件が数式で定義された実問題に関してのみ実施した.当初の予定としては,目的関数値や制約違反判定にシミュレーションを伴うような高コストの問題も対象に解析する予定であったが,数式ベースの実問題での解集合の可視化の検討に時間を割かれ,今年度は取り組めなかった.そのため本トピックはやや遅れていることになる. (2)獲得された解集合の評価方法の検討:獲得された解集合のパレートフロントへの収束性と個体群の多様性を独立して評価する方法であるConvergence-Diversity PairとConvergence-Diversity Diagramに関して国際会議にて論文を2本発表,国内会議にて論文を1本発表した.また,二次元空間で可視化可能な高次元の制約付きマルチモーダル多目的最適化問題に関して国際会議にて論文を1本発表した.このトピックは当初の計画よりも進んだと言える. (3)実問題を想定したアルゴリズムの開発:様々なパレートフロント計上に対応可能なトポロジカルクラスタリングに基づく分割ベースの進化型多目的最適化アルゴリズムに関しては,成果をまとめ英文ジャーナルに投稿中である. 以上のことから,全体的には概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続き実世界最適化問題の特徴解析,獲得された解集合の評価方法の検証,実問題を想定したアルゴリズムの開発を行う. (1)実世界最適化問題の特徴解析:引き続き目的関数や制約条件が数式のみで定義された実問題と,シミュレーションを伴う実問題において,膨大な解情報を生成しデータベースの構築を行う.パレートフロントや実行可能領域の形状,目的関数値と決定変数値との関係性を調査する.可視化による解析,クラスタリングやファジィ識別器を利用した知識獲得による解析を行う.データベースの公開方法についても検討を行う. (2)獲得された解集合の評価方法の検証:多数目的最適化問題を多様性と収束性の観点で切り分けた評価手法の有効性を検証する. (3)実問題を想定したアルゴリズムの開発:様々なパレートフロント形状に対応可能な進化型多目的最適化アルゴリズム,決定変数空間で異なるパレートセット集合を探索可能な進化型多目的最適化アルゴリズムの開発,制約条件を考慮した進化型多目的最適化アルゴリズムの開発を行う.また,開発したアルゴリズムを利用した実世界最適化問題の特徴解析を行う.
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