研究課題/領域番号 |
22H03676
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
野村 収作 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (80362911)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ストレス / 看護師 / ホルモン / 爪ホルモン / 精神神経内分泌学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、コロナ禍の最前線で働く看護師の甚大なストレスを、爪のホルモンにより時間を遡って定量的に検証することにある。人間の爪は2週間で約1mm成長し、その成長過程で血中のホルモンを取り込む。つまり、爪はホルモンの記録媒体である。このことを利用し、本研究ではコロナ禍により看護師の身体に引き起こされたであろう甚大な影響を事後的に検証するものである。本年度は、昨年度までに作成した爪に含まれる6種類のホルモン(コルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロン、メラトニン)を分析する独自のプロトコルを用いて、海外協力機関であるスリランカの国立病院において収集したコロナ病棟に従事する、また従事していない看護師の爪検体の分析に着手した。同時に、対象者の年齢層の拡大に対して、本横断研究の分析に対する交絡要因を評価するため、新たに高齢者を対象として検体を収集し、同上の6種類のホルモンについて生化学分析を行った。既に分析が終了していた健常青年の分析結果と比較して、性ホルモンの低下が認められるなど生物学的に整合性のある結果を得た。ただし、検体を提供した高齢者は様々な疾患やそれに伴う治療履歴を有しており、それらが新たな交絡要因となる可能性が示唆された。このため、本年度は看護師の検体の生化学分析を行う前に、過去に分析した既存データを再分析し、爪ホルモン分析にかかる交絡要因について評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外協力機関であるスリランカの国立病院において収集したコロナ病棟に従事する、また従事していない看護師の爪検体の分析に着手したことにより、対象者の年齢層が拡大した。このことに対して、まずは横断研究における交絡要因を評価するため新たに高齢者を対象として検体を収集し、同上の6種類のホルモンについて生化学分析を行った。高齢者の検体についても、本研究独自のプロトコルにより定量分析したところ、健常青年の分析結果と比較して、性ホルモンの低下が認められるなど生物学的に整合性のある結果を得た。ただし、検体を提供した高齢者は様々な疾患やそれに伴う治療履歴を有しており、それらが新たな交絡要因となる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度の評価結果を受けて海外協力機関の看護師の爪検体の分析を完了させる。本年度の後半は、これまでの研究で得られたデータについて交絡要因を考慮しつつ、統計学的検討を行う。さらに、同海外機関では一定期間を置いて複数回調査を実施し、爪検体も収集していることから、対象被験者において社会心理的および物理的な環境変化に対する縦断的な検討も行う。
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