研究課題/領域番号 |
22H03686
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小関 準 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20616669)
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研究分担者 |
今野 雅允 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80618207)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | RNA修飾 / 構造変化 / 機能変化 / 理論科学 / 位相幾何学 |
研究実績の概要 |
生体内分子の『構造と機能』の間には非常に強い相関があるため、生体分子に修飾基が入ることで、自身の構造変化や結合分子との相互作用変化が誘導され、生体内機能が変化する可能性が報告されている。 本年度は、位相幾何学を応用した構造解析手法の一つであるパーシステントホモロジーを用いて、分子修飾の有無のような小さな構造変化がもたらす分子間相互作用変化を介した大きな構造変化を抽出するためのプラットフォームを確立することができた。さらに、この大きな構造変化を構造全体に伝搬する水素結合変化も抽出することができた。この構造変化抽出手法プラットフォームの完成は、本研究の目的であるRNA修飾がもたらす分子間相互作用やタンパク質結合の違いを明らかにするための大きな1ステップが構築できたと考えている。 現在、van der Waals相互作用を自動抽出し、その強弱を判定するための技術基盤の構築を進めており、その技術を完成させることができれば、分子間相互作用の強弱の変化も定性的に議論することを可能にすることができる。 並行して研究協力者である藤田医科大学の常陸助教のタンパク質修飾の有無による表現型の違いを理論科学的に説明できるのかどうかを、作成した構造変化解析プラットフォームを用いて検証したところ、実験結果をサポートすることができる有効な構造変化を提唱していることが分かった。さらに、このタンパク質修飾と同様の効果を示すアミノ酸置換も理論科学的に検証することも可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、分子内の微小な構造変化がもたらす熱力学的分子挙動変化を抽出するためのトポロジカルデータ解析手法のプラットフォームを完成させることができたためである。具体的には参照構造と対象構造で大きな構造的変化をもたらす部位の抽出と、その構造変化に関与している内部水素結合変化の特定にまでできるようにした。さらに、CH-π相互作用の変化判定のための前処理まで進めることができた。 さらに研究協力者のタンパク質修飾のデータを用いることで、研究代表者が作成した構造変化解析プラットフォームは、核酸修飾だけではなく、タンパク質修飾であっても有効的であることを確認することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
PDBbindに登録されている973構造のタンパク質-核酸複合体データを用いて、タンパク質と核酸の接触界面相互作用を解析し、安定化に必要な分子間相互作用を特定する。具体的にはアミノ酸の側鎖重心位置と核酸リボース重心間/核酸重心間とその位置関係性をネットワーク化させることで結合関係性を取り込む。これにより、どのようなタンパク質表面に対して核酸が認識・結合されやすいかを判定する。 このような流れで修飾核酸の『構造と機能』の関係性から、どの程度生体内機能に影響を及ぼすかを明らかにするための技術基盤を確立させていく。
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