研究課題
病院組織と連携して,他者対話と自己内対話の同型性への気づきを促す看護思考法研修を開催し,思考の誤りの体系を基礎とした,実体験を通して将来に活用できる知識構築を学ぶ指導教材を開発し,病院組織のための研修法の確立を目指し,我々がこれまで構築してきた看護思考オントロジーを基盤とし,当該年度に開催した研修で認めた看護思考の誤りを加えつつ,看護思考法の学習を促す教材の開発,および,看護思考研修モデルの洗練化に取り組んだ.実際に病院と連携し,約2か月を単位とする研修を,三回開催し,看護師長と看護副師長12名が参加した.いずれの研修も昨年度に開催した研修で講義と教材の解説を受講した看護師を対象としており,実体験の陳述を通して思考を診断し,指導を行った.収集した事例(ケース)を診断した結果,「論証外の言及がある」や「指針が葛藤を表さない」,「複数の判断が分離できていない」など看護思考の誤りを見出した.収集したケースのトピックには,救急搬送の事例,終末医療,食事制限,患者の希望への対応事例,嚥下紹介である.研修の指導者が宿題として提出された看護ケースについて,看護思考の問題点や原因,解決方法,その効果を,過去の診断を基に指定する診断支援機能を改良した.また,ケースを執筆した看護師へ,思考の問題点を伝えるための教材として,研修指導者の診断に応じて資料を自動生成する機能を実装した.引き続き,看護思考の指導実践を通して,教材の設計と試作,研修への導入を進め,看護思考の誤りの体系化と,教材開発を行う.
2: おおむね順調に進展している
病院との連携を通して看護師12名の参加を得て看護思考法研修を開催し,看護思考を診断して指導を実施した.それぞれの指導について,問題点と原因を整理し,看護思考の誤りの体験の洗練化を通して,思考の問題点に焦点を当てた教材の開発に着手した.また,指導者による診断を支える講評支援機能の開発に着手できた.
引き続き,病院と連携して看護思考の指導実践を通して,看護思考の誤りを診断し類型化を行う.また,類型化した誤りをベースとした看護思考の誤りを顕在化する教材を開発する.具体的には,指導者による診断において,過去の誤りの描画インターフェースの設計を見直す.指導者が,過去の診断から思考の問題点を指定することで,その事例を参照したり,関連する原因同定や解決助言,効果示唆を絞り込む機能を検討している.また,引き続き,指導者の診断に応じて,研修参加者へ提供する思考の問題点を明示した資料を自動生成する機能の開発に取り組む.指導者が入力した問題指摘に応じて,看護師のケースから問題点に焦点を当てた資料を生成して研修参加者がシステムを通して閲覧することができる.
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作業療法おかやま
巻: 33 ページ: 40