研究課題/領域番号 |
22H03712
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
松島 恭治 関西大学, システム理工学部, 教授 (70229475)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コンピュータホログラフィ / 計算機合成ホログラム / 3次元立体画像 / 立体サイネージ |
研究実績の概要 |
[A]構造化照明マッピングを用いたアニメーション: 構造化照明マッピングを用いて数千憶画素の高解像度CGHの映像を切替える技術では,プロジェクタで発生した1ミリ以下のブロック構造の照明をCGH干渉縞にマッピングするために,0.1ミリ程度の位置合わせ精度が必要である.そこで,干渉縞パターンのエッジに位置合わせ用の開口を設け,投影画像を変化してその位置を特定する技術を開発した.この時,反射型液晶型,ビームスキャン型いずれのプロジェクタでも位置合わせができるバイナリサーチ法を開発し,わずか数秒程度で正確な位置合わせができるようになった. [B]映像サイズの大型化: タイリングの手法を用いて大型の高解像度CGHを製作する技術では,当初A3用紙サイズ以上のCGHの作成を目指したが,その前段階として,17cm角の4枚のタイルを貼り合わせた34cm角の正方形のCGHを製作したところ,各タイルの映像が正確に接続しない問題が生じた.これは,ベースとなる基板の素材の剛性が足らず,全タイルが正確に同一の方向を向いていないためであった.そこで,基板の素材を高剛性のガラスに変更した結果,完全に映像が接続した大型CGHが作製できた.但し,重量が増える結果となった. [C]その他の補助的技術: 高解像度CGHの社会実装を目指して,深層学習技術を用いて人の顔の3D構造を推定し,立体ポートレートを作成する技術を開発した.これにより,1枚の顔写真さえあれば,例え故人であっても,立体的なホログラムを作成することができる.また, CGにより作成した多視点画像から求めた物体光波を物理シミュレーションによって計算した深い奥行きの3Dシーン内に埋め込む技術を開発した.これによって多視点画像と物理シミュレーションを融合したフルカラー3D映像を作成することが可能になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別研究課題の[A]構造化照明マッピングを用いたアニメーション,および,[C]その他の補助的技術については,順調に研究が進捗している.しかし,[B]映像サイズの大型化については,個別CGHをタイリングするために用いる基板の素材に高い剛性が必要であることがわかり,2022年度の目標であったA3用紙サイズまでは実現できなかった.高剛性の基板を用いれば解決できる問題ではあるが,大型化するほど重量が増加するため,現実的なA3サイズのサイネージを実現するためには,基板の軽量化が問題となる.
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今後の研究の推進方策 |
[A]構造化照明マッピングを用いたアニメーション: 構造化照明の位置合わせの自動化は実現できたが,プロジェクタの投影範囲がCGHのサイズより大きく,構造化照明のブロックの有効画素数が不十分となっている.そのため,所望のフレームの干渉縞ブロックのみを照明できず,フレーム間クロストークが生じている.これを防ぐためにはプロジェクタとCGHを接近させる必要があるが,CGH前面側から照明すると,プロジェクタが邪魔になってCGH映像が見づらい問題が発生する.そこで,CGH背面側から照明するようにシステムを変更する予定である. [B]映像サイズの大型化: CGHをタイリングによって大型化する際に剛性を高く保つと重量が増加する問題が生じている.そのため,軽量で,かつタイル間の映像の接続が目立たない高剛性の基板を開発し,A3用紙サイズ以上の大型CGHの作製を目指す. [C]その他の補助的技術: ホログラフィックポートレートについては,現在のところ,首から上だけの映像となっているため,いわゆるバストショットとなっていない.そこで,深層学習を調整することにより,バストショットのホログラフィックポートレートを作成する.また,多視点画像については,実物体を撮影した多視点画像を正確にスケーリングして,物理シミュレーションによる3Dシーン内に埋め込む技術を開発する.
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