研究課題/領域番号 |
22H03731
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
|
研究分担者 |
三木 健 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (00815508)
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
植竹 淳 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40455473)
村上 正志 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (50312400)
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 感染症 / 温暖化 / 微生物 / ツボカビ / 氷河 / 積雪 |
研究実績の概要 |
極地や高山に分布する氷河・積雪生態系には,低温でも繁殖可能な特殊な藻類である雪氷藻類が生息している。雪氷藻類が増えると雪氷面が暗色化し雪氷の融解を加速する効果があるため,その動態は世界的な注目を集めている。この雪氷藻類にツボカビという菌類が寄生すると大量死を引き起こしうる。さらに地球温暖化に伴い雪氷藻類へのツボカビ感染は蔓延拡大する可能性がある。そこで,本研究では世界で初めてツボカビと雪氷藻類の宿主寄生者関係を解明し,ツボカビが雪氷藻類に与える影響を評価し,温暖化によるツボカビ感染症動態の変化を予測するために,以下のことを行った。 1)雪氷藻類とツボカビの宿主寄生者関係の把握 試料は月山や八甲田など日本国内の積雪生態系から試料を採取し、解析に用いた。顕微鏡観察により各調査地の雪氷藻類へのツボカビ感染を確認すし、観察できた雪氷藻類寄生性ツボカビを1ペアずつ拾いDNA解析を行い(シングルセル解析),ツボカビと雪氷藻類との対応関係(宿主寄生者ネットワーク)を把握した。その結果、それぞれの地域に固有のツボカビが出現することが明らかとなった。 2)感染症動態に及ぼす環境要因の解明 アラスカ・グルカナ氷河において,標高や氷表面形態など環境条件の異なる複数の地点で同時期に集中的に試料採取を行った。ツボカビの感染度合(寄生率・多重感染度)を計数し、環境条件による違いを調べたところ、標高による差は顕著ではなかったが、同じ標高でも水たまり(クリオコナイトホール)で寄生率が高くなることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNA解析に用いるプライマーの検討に予想以上に時間を要したが、シングルセル解析で様々なプライマーを検討することで、ツボカビと藻類それぞれの解析に最適なプライマーをみつけることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
国内(月山,立山,八甲田,苫小牧など)と国外(アラスカ,モンゴルなど)の氷河・積雪生態系から広く試料を採取し,顕微鏡観察により各調査地の雪氷藻類へのツボカビ感染を確認し,寄生率を計数する。同時に、DNAメタバーコーディング解析により各地の藻類および菌類の群集構造を明らかにし、シングルセル解析で得られたツボカビと雪氷藻類との対応関係と照合することにより。ツボカビおよび雪氷藻類の分布パターンや分散方法について明らかにする。
|