研究課題/領域番号 |
22H03732
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 特定研究員 (80390590)
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研究分担者 |
三浦 和彦 特定非営利活動法人富士山測候所を活用する会(富士山環境研究センター), 第一研究部, シニアリサーチフェロー (00138968)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 車載ライダー / エアロゾル / 大気微量物質 / 移動計測 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、都市域、農地、森林域など、人間生活圏に近い領域の気象と大気微量成分を高精細に3次元センシングをするための車載型複合ライダーの開発を目的とする。2022年度は、車体底面に除震対策パレットを敷き、車体上部に紫外透過ガラスを設けたライダー観測専用車を構築した。観測車は雨天や高速走行にも対応し、最大70時間の無給電計測が可能であり、高度数キロまでのエアロゾル鉛直分布を0.1~1秒間隔で取得できる。ライダーの計測性能を評価するため、2022年9月にドップラーライダー(レンタル)や既設の水蒸気・気温ライダーとの比較観測を行った。また、この観測車を利用して、走行距離500kmを超える長距離移動観測や定常観測が難しい海上橋での往復観測を複数回実施し、汚染大気が及ぶ範囲の推定や通過時刻・経路による違いなどの特徴を調べた。 2023年以降に対応予定のライダー高機能化の下準備として、偏光観測や蛍光観測に対応するための新しい光学系の設計・シミュレーションを行った。また、並行して実施している挑戦的研究(萌芽)「蛍光体発光スペクトルの安定性に着目した検出器校正による環境計測ライダーの新展開」により開発した校正装置は、車載ライダー高機能化への相乗効果が期待できるため、2022年度中に校正装置搭載のための車内改造まで行った。今後は、開発した車載ライダーを用いて、都市域だけでなく、山岳地域、寒冷地域、農地等の多様なサイトで実証観測を実施予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の核となる(1)車載ライダー専用車への改造と(2)ライダーの高機能化のうち、(1)は2022年度中に完了した。(2)に対応するための装置設計・評価では、蛍光計測のための検出器開発過程において、検出器の天窓からの蛍光漏れ込みに対応すべく追加の光学系設計が必要になったが、検証実験および実証観測は当初予定どおりおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に設計したライダー高機能化のための分光系を構築して、評価観測に適用する。2023年9月にドップラーライダー(レンタル)や既設の水蒸気・気温ライダー、ドローンとの比較観測を実施する。また、都市域だけでなく、富士山周辺の山岳域や寒冷地での実証観測を年間10回以上行う。
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