研究課題/領域番号 |
22H03757
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
茶谷 聡 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主幹研究員 (40394837)
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研究分担者 |
櫻井 達也 明星大学, 理工学部, 准教授 (00470154)
板橋 秀一 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (10714537)
嶋寺 光 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20647367)
山地 一代 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (40399580)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 領域化学輸送モデル / PM2.5 / オゾン / 相互比較 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
1年目は2018年4月と7月をモデル間相互比較の対象としたが、2年目は特異的な排出量の減少に伴う濃度変化の評価を行うため、COVID-19蔓延の影響を強く受けた2020年を対象に加えることにした。同期間の排出量は、統計データを解析して得られた特異的な活動量の減少を反映させて推計した。より長期的な影響を評価できるように、2018~2020年の4~8月を対象期間とし、モデルで計算される濃度絶対値とその経年変化について相互比較を行った。 濃度絶対値に関して、気象モデルの境界層、接地層、地表面スキームの違いにより、化学輸送モデルで計算される汚染物質濃度に大きな差異が生じた。オゾンゾンデで観測された鉛直プロファイルなどと比較したが、優劣を判断するのは容易ではなかった。ブラックカーボンの濃度について、モデルの設定や入力データの違いによる影響を解析し、湿性沈着の扱いの影響が最も大きく現れていた。黄砂が飛来した期間については、モデル内で黄砂発生を計算するために必要な気象要素やパラメータの違いが、粒子状物質濃度に大きく影響していた。 濃度の経年変化に関しては、おおよその傾向はモデル間で整合していたが、変化量の絶対値や空間分布については違いも見られた。気象場の違いによって生じる汚染物質濃度の差異について、その経年変化の特徴を明らかにした。COVID-19蔓延の影響を受けた2020年における汚染物質濃度は前年に比べて概ね低く、特異的な排出量の減少の他、気象条件の年々変動の影響も強く受けていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に予定していた特異期間を対象とした解析として、COVID-19蔓延の影響を受けた2020年を含む2018~2020年の4~8月を対象にモデル間相互比較を行えたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2年目に見出された、濃度変化に違いを生み出す要因をモデル上で増減させ、計算される濃度変化の幅を評価する感度実験を行い、各要因が濃度変化に及ぼす影響を定量化する。その結果を基に、モデルで計算される濃度変化の不確実性を減らし、信頼性を向上させるための方向性を明らかにする。
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