研究課題/領域番号 |
22H03763
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
王 斉 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 特任助教 (60811685)
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研究分担者 |
徳村 雅弘 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (20583016)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ハロゲン化多環芳香族炭化水素類(XPAHs) / 多環芳香族炭化水素類(PAHs) / 直接導入法 / 室内空気 / リスク評価 |
研究実績の概要 |
ハロゲン化多環芳香族炭化水素類(XPAHs)は、新規残留性有機汚染物質となり得るが、適切な測定手法の欠如などにより、ヒトの日常活動を考慮したXPAHsの曝露情報は欠如しており、ヒトへのリスク評価に関する研究が不足している。 今年度は、室内空気中のXPAHsの高感度測定手法を開発した。空気サンプルについて、低流速のミニポンプを用いて少量の積算流量の空気をフィルターに捕集した。Thermal Separation Probeを用いて捕集後の試料を、そのままガスクロマトグラフ-タンデム質量分析計(GC-MS/MS)に全量導入して分析した(直接導入法)。直接導入法の性能を評価するために、同条件で捕集したサンプルを用い、直接導入法と従来法である溶液導入法で測定した濃度結果を比較した。その結果、2種類の測定方法で求めたPAHs・XPAHs濃度値が一致しており、相関係数は1付近であった。2種類の測定方法を用いた分析対象物質の定量下限値を比較したところ、従来法より直接導入法の分析感度が1.1-906倍高かった。直接導入法を用いた一般住宅やオフィスなどの空気中PAHs・XPAHsの濃度を測定した結果、毒性値がbenzo[a]pyreneより20倍高いbenzo[c]fluoreneなどの物質を含め、13種類の物質の空気中濃度が従来法の定量下限値以下であることが確認された。これらの結果はPAHs・XPAHsのリスク評価の正確さに大きな影響を与えるため、室内空気中における極低濃度域のPAHs・XPAHsを分析する場合、直接導入法は重要な測定手法であることがわかった。また、室内空気のサンプリングおよびハウスダストの分析を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
室内空気中のPAHs・XPAHsの高感度分析法開発が順調に進んでおり、室内環境中のPAHs・XPAHsの汚染実態調査を進行していることから、当初の予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、室内空気とハウスダスト中のPAHs・XPAHsのデータを蓄積し、これらの結果に基づき、室内環境中のPAHs・XPAHsの汚染実態・発生源の有無を調査していく。
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