研究課題
(1)有機ゲル化剤の大量合成法の開発 有機ゲル化剤の大量合成法を検討し、数gオーダーでの合成方法を確立した。その上で、市販のイオン液体をゲル化したイオン液体ゲルを構築し、その熱物性および力学特性を解析した。その結果、150℃程度のゾル-ゲル転移温度を達成し、高純度の有機ゲル化剤と遜色ない性能を維持した有機ゲル化剤の開発に道筋を立てることができた。構築したイオン液体ゲルは、流動性は完全に失われていた固体としての物性を示すことを明らかにした。(2)イオン液体ゲルのガス吸着特性の解析 前項目で構築したイオン液体ゲルの二 酸化炭素分離材料のCO2圧力変化に伴うCO2吸着量及び吸収速度を測定し、有機ゲル化剤の添加により、CO2吸収量に影響を受けることなく、イオン液体そのものの性能を維持したイオン液体ゲルの構築に成功した。(3)イオン液体ゲル膜の構築 項目(1)、(2)で得られたイオン液体ゲルに関する基礎物性を基盤として、二酸化炭素分離材料としての分子構造の最適化を進め、次年度以降の分子設計指針を確立した。以上の研究結果及び研究プロセスで得られた研究成果について、国内学会12件、国際学会1件を発表し、大学見本市(イノベーション・ジャパン2023)に出展することで国内外の研究者及び技術者への研究成果の公表に努め、査読付き論文3報を発表した。以上の研究成果は、CO2排出抑制にとどまらず、喫緊の環境問題に関連する国際共同研究に繋がり、上記の査読付き論文に加えて、査読付き論文2報を報告している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、有機ゲル化剤の大量合成法を確立した上で、大量合成法に基づく有機ゲル化剤の性能が、概ね良好と言える為、順調に進捗していると言える。具体的には、5%未満の有機ゲル化剤の点火により150℃以上のゾル-ゲル転移温度を達成している。さらに、構築したイオン液体ゲルは、液体の性能を維持した固体であることが分かった。
(1)イオン液体ゲル膜の構築:前年度までに構築したイオン液体ゲルを用いたガス分離膜を構築する。(2)イオン液体ゲル膜のガス分離性能の解析:前項目(1)で構築したイオン液体ゲル膜を用いて、CO2/N2分離性能を検討する。(3)イオン液体及び有機ゲル化剤の構造最適化:項目(2)にて解析したガス分離性能を礎に、ガス分離媒体であるイオン液体及び有機ゲル化剤の分子構造の最適化を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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