研究課題/領域番号 |
22H03799
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
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研究分担者 |
伊藤 隆 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (40302187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Cuナノワイヤ / 導電性 / 接触 / 接合 / ヒドロキシ酸 / 酸化・還元 |
研究実績の概要 |
酸化物フリーなCuナノワイヤは熱処理などを行うことなく、Cuナノワイヤ同士で接合し、ナノワイヤネットワークを形成することで、高い透明導電膜性能を示すことを代表者は確認しており、これらの現象を解明することを本年度の目的としていた。 酸化物フリーナノワイヤはヒドロキシ酸による処理によって達成可能であることを確認していたが、処理後の表面分析からいずれのヒドロキシ酸を使用した場合でも表面処理時には酸化物が完全に表面から除去されているが、表面にヒドロキシ酸が残存し、そのままではナノワイヤ同士の接合は起こらずに導電性も低いままであった。その後、過剰なヒドロキシ酸を有機溶媒にて洗浄することで除去可能であったが、除去と同時に表面は再び酸化し、この場合も低い導電性であった。しかしながら、ヒドロキシ酸の中のクエン酸を用いた場合、表面洗浄後も酸化は抑制されており、高い導電性を示した。これは、クエン酸の銅表面の吸着力が強く、均一に薄い膜をナノワイヤ表面で形成しており、酸化は抑制するが、ナノワイヤ同士の接触は阻害しない状態であることが示唆された。ただし、クエン酸の場合でも洗浄後は若干酸化されており、完全な酸化物フリーな状態ではない。 以上から、完全な酸化物フリーな接合を達成するには有機溶媒洗浄前に、更なる化学反応を導入し、ナノワイヤ同士を完全に接合させる必要がある。ここで、本年度は更にヒドロキシ酸以外の酸化剤と還元剤がpH電位線図を基礎に、ナノワイヤ表面をどのように酸化・還元させるかを把握し、酸化と還元を制御できる溶液状態を創出している。そのため、次年度以降に接触部を酸化させた後、更に還元することで、接触ではなく接合した状態の創出を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた検討事項は全て実施しており、なぜ熱処理などを行わなくても導電性を発現できるかは解明できたため、おおむね順調に進展している。しかしながら、完全な酸化物フリーな状態ではなかったことから更なる検討事項を次年度以降追加して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で述べたように新たな検討事項が必要となったため、次年度以降の研究計画に追加して実施するが、その追加事項によって次年度の検討事項が遅延等とならないように、検討事項を並列して実施する。
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