研究課題/領域番号 |
22H03805
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
橋本 征二 立命館大学, 理工学部, 教授 (30353543)
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研究分担者 |
谷川 寛樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90304188)
山末 英嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (90324673)
吉川 直樹 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (10583271)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ライフサイクル評価 / シェアリング / サブスクリプション / カーボンニュートラル |
研究実績の概要 |
資源効率・循環経済に向けた「新しい」取組に関わる評価手法の確立に向けて、居住に関わる循環経済行動の天然資源使用量削減効果について検討した。その結果、1988年から2018年における住宅の資源利用強度(トン/人)は減少しており、総床面積当たりの着工床面積の減少(住宅の長寿命化)がその主たる要因であったと推計された。一方、1人当たり床面積の増加は資源利用強度を微増させる要因になったと考えられた。また、オフィスシェアリング及びライドシェアリングを対象としたライフサイクル評価を試みた。オフィスシェアリングについては、シェアオフィス(SO)、自宅のいずれも空調、照明に関わるCO2排出量が大きく、SO、自宅とも執務人数の増加により、1人1時間あたりのCO2排出量は減る結果となった。自宅の執務者(利用者)数を2人とした場合、SOまでの移動を5kmとしてバスや乗用車を用いると、SOのCO2排出量が自宅の値を下回ることはなく、バスや乗用車を用いてより長い距離を移動した場合には、SOのCO2排出量に一定の影響を与える結果となった。ライドシェアリング(RS)については、実績データに基づき都道府県をまたぐ移動を対象とした。同乗者は平均1.9名であり、同乗者がRSを使用せず、それぞれ自家用車を使用した場合には、多くのCO2を追加で排出していた計算となった。同乗者が公共交通機関(バス、鉄道)を使用した場合、同乗者の利用の有無に関わらず公共交通機関は動いているため、RSを利用しなかった場合の排出量として考慮すべきかどうかは議論があると考えられた。以上のような事例研究をもとに、引き続き、評価手法を整理・提案していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に実施したケーススタディーにより、ライフサイクル評価を実施する上での様々な留意点が明らかとなってきており、研究はおおむね順調に進んだと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度、橋本(2018)、Hertw ich et al.(2019)が分類する資源効率・循環経済に向けた取組のマクロな影響について居住を事例に評価し、住宅の寿命や1人当たり床面積の増加が大きな効果をもたらすことが示唆された。また、シェアリング・サブスクリプションのような、資源効率・循環経済に向けた「新しい」取組に関わる評価手法の確立に向けて、オフィスシェアリング、ライドシェアリングを対象にケーススタディを行った。今後は、こうしたケーススタディを追加するとともに、これらを踏まえ、脱炭素化への貢献の評価手法の整理・提案を行っていく。具体的には、(1)事業実施シナリオやベースラインシナリオの設定方法、(2)機能単位の設定方法、(3)脱炭素化への影響の考慮範囲、等の観点から評価手法を整理・提案する。
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