研究課題/領域番号 |
22H03809
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
川邉 みどり 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80312817)
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研究分担者 |
婁 小波 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50247970)
中原 尚知 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90399098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 共同のしくみ / 沿岸地域社会 / 持続可能性 / 社会経済的メカニズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、沿岸地域の持続的発展を支える「共同のしくみ」の社会経済的メカニズムを解明することです。本研究は、高い持続可能性を示している沿岸地域を事例研究対象として選定し、現地の関係者の協力を得ながら、社会学・経済学・経営学の多面的な視角から目的解明に挑むものです。 初年度である2022年度は、次の2点に注力しました。 1.「共同」のしくみの理論構築については、文献調査および勉強会開催をとおして、「社会ネットワーク分析」「新しい経済社会学」の「埋め込み理論」などの、「共同」のしくみに深く関係すると考えられる理論について、その枠組みの構築を目指して文献調査をおこないました。 2.一方、事例対象地域における現地調査については、 COVID19蔓延のために、想定していた事例対象地域の研究協力者がコロナの再燃による感染を懸念されたことにより、現地での多様な関係者からのグループ/個別インタビューなどの調査を十分に行うことができませんでした。そこで当初の予定を変えて、受け入れていただくことができた地域/時期に現地に伺って調査をさせていただきました。主な調査地は、以下の通りです。([]は調査内容。)北海道・厚岸町[カキ養殖技術開発過程、漁場利用ルール、地域活性化に向けた資源利用の方向性など];福島県浜通り地方いわき地区[水産業復興における、ステークホルダーたちのリスクマネジメント];宮城県東松島市鳴瀬地区[カキ養殖生産経営の持続可能性強化と課題];沖縄県恩納村もずくの共同的フードシステムの運営[サンゴ再生を交えて])。また、COVID19蔓延への対応の一環として、東京近郊での調査が可能な、水産物の共的フードシステムに関する事業者へのインタビュー調査に注力しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「共同のしくみ」の理論構築のについては、本年度に文献調査をおこなった「社会ネットワーク分析」「新しい経済社会学」では、本研究課題が対象とする自然資源管理にかかわる研究成果がほとんど見つからなかったことから、今後、文献調査の検索範囲あるいは社会科学的理論の領域を広げて強化する必要があると感じています。 また、事例調査に関しては、COVD19の蔓延の状況に左右され、予定していた地域の現地調査が実現実施できなかったことから、受け入れていただけた他地域・時期で事例調査をおこないましたが、やはり移動等での制約のために十分に行うことはできたとは言い難い状況です。また、共的水産物フードシステムを支える流通のしくみについては、東京近郊で重点的にインタビュー調査を行うことができたものの、生産現場に伺がうことはできなかったことから、フードシステムのプロセスのなかで、もっとも「共同」のしくみが機能を発揮している生産主体における社会的メカニズムを把握するための調査をおこなうことはできませんでした。
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今後の研究の推進方策 |
共同のしくみの理論構築においては、「新しい経済社会学」の「埋め込み理論」(Granovetter,1990)が、地域社会において共同のしくみが構築される要因に関する社会的原理分析に適していると考えていますが、自然資源管理に関する事例研究が少ないことから、引き続き文献調査を深めるとともに、もう少し視野を広げて文献調査をおこない、本研究課題の理論的枠組みとして活用できるようにしたいと考えています。 また、COVID19緩和の兆しが見え始めたことから、今まで実施できなかった遠隔にある生産地の現地調査(おもに北海道道東、福島県浜通り地方を想定)、および、その生産物に関する市場流通調査を重点的におこない、サステイナブルな水産物フードシステム「緑のさかな」の維持機構に関する知見を増強したいと考えています。一方、研究の広報活動については、主体的な発信がほとんどできていないことから、今後はなんらかのSNS的媒体をとおして自ら情報を発信するプラットフォームを形成する必要性を強く感じています。
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