研究課題/領域番号 |
22H03810
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
富井 尚志 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40313473)
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研究分担者 |
本藤 祐樹 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90371210)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | センサデータベース / サイバーフィジカルシステム / スマートグリッド / 電気自動車 / 再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
1年目である令和4年度は、エネルギー・環境分野、データ工学それぞれの観点から、VGIスマートグリッドの実現性を定量的に評価する適切な指標を導入する計画であった。具体的には、次の8種の指標を考えていた。(1)PV発電の有効利用度、(2)外部供給電力量の低下度、(3)外部供給電源安定度、(4)バッテリー充給電による変換損失、(5)バッテリー容量損耗度、(6)トータル導入コスト、(7)データ量およびデータ速度に対するデータベースサーバの実効パフォーマンス、(8)データ有用性と正確性。このことについて、主に(1)、(2)、(3)、(7)について3件の研究発表を行った。 上記の発表はシミュレーションに基づく定量評価内容であったが、太陽光発電データについて実データを用いるために、太陽光発電システムを横浜国立大学に設置し、データ収集を開始した。太陽光発電シミュレーションの正当性を評価するため、1件の研究発表を行った。 EVのデータ取得については、おおむね計画通りに継続した。さらに、EVの消費エネルギーデータをシミュレーションによって生成し、地図上に可視化する新しい方法である「EVのエネルギーベースラインマップ:EBM(Energy Baseline Map)」の提案を行い、4件の研究発表を行った。うち2件については表彰された。 また、先行研究においてSQLとPCP(Parallel Coordinates Plot)を組合わせた独自のデータ可視化手法の提案を行ってきた。この手法をライフログとVGIの分析に用いる方法を設計し、1件の研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
太陽光発電システムの設置が令和4年度末にずれ込んだため、負荷平準化プロトタイプによるデータ計測の開始が当初計画より遅れることとなった。そのために、令和4年度予算の一部を次年度に繰り越した。 繰越のためにやや遅れた進捗となったが、結果としては、個々の詳細研究発表の積み上げ実績を確実に上げることができた。また、独自のデータ可視化手法をライフログ分析に行う方法と(8)実効パフォーマンス評価の足掛かりを得るに至った。 EVのデータ分析については、実走行時のEVのエネルギー消費結果を地図上に可視化する方法を提案し、そのデータの正確さを評価するなど、多様な研究に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
VGIスマートグリッドの実現性を定量的に評価する指標(1)~(8)のうち、デメリットの評価に該当する(4)バッテリー充給電による変換損失、および(5)バッテリー容量損耗度の定量化に着手する。また、その他の指標については、継続してシミュレーションを行うとともに、一部に実データを用いて評価を継続する。 また、太陽光発電システムの設置が完了したため、続けてEVパワーステーションを設置し、小型マイクログリッドのプロトタイプを構築する。そして、実際のEVを用いて充給電を行いながらデータ収集を継続する。最終的には、適切かつ独自に設計されたデータベースを用いて、(6)トータル導入コスト、(7)データ量およびデータ速度に対するデータベースサーバの実効パフォーマンス、および、(8)データ有用性と正確性の評価につなげていく。 EVについては実走行データおよび充給電データの収集を継続する。とりわけ、今年度新たに導入した「EVの電力消費ベースラインマップ」の精度検証と有用性の検討を行う。さらに、日常生活内で使用されるEVから収集されたライフログの有用な分析方法の導入を行っていく。
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