研究課題/領域番号 |
22H03811
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
高橋 満彦 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (10401796)
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研究分担者 |
田口 洋美 東北芸術工科大学, 芸術学部, 教授 (70405950)
山本 麻希 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90452086)
菊地 直樹 金沢大学, 先端観光科学研究センター, 教授 (60326296)
本庄 萌 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (30908570)
亀岡 鉱平 株式会社農林中金総合研究所, 基礎研究部, 主事研究員 (00610289)
奥山 正樹 鹿児島大学, 南九州・南西諸島域イノベーションセンター, 特任教授 (60898443)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 野生動物保護管理 / 狩猟 / 鳥獣被害対策 / ハンター / 野生動物法 |
研究実績の概要 |
本研究は、市町村単位等で「鳥獣保全管理区」を鳥獣保護区以外の地帯に設ける「場の仮説」と、猟友会等の地域中間団体に鳥獣の利用と管理を担わせる「人の仮説」、という二つの仮説及びその組み合わせの実現可能性を検討することを主目的としている。 本年度は、本研究期間を二つに分けたうちの第1段階に属し、「人の仮説」分野において狩猟者の現況の把握すべく、狩猟者への聞き取り調査を展開した。本年度は、主として北陸信越を調査範囲とするとともに、加えて北海道、東北、北関東で、地域のリーダー格の狩猟者らから聞き取りをした。 「場の仮説」に関しては、鳥獣保護区と猟区について考察し、特に鳥獣保護区に関しては、論考を発表し、既往研究の少ない鳥獣保護区研究に先鞭をつけた。 また、現在の管理捕獲では罠を使用することが多い。罠猟は古くからある狩猟方法で、西日本では特に多用される。我が国の自然にもあった猟法であり、鳥獣害予防の点で大きな利点を有する。一方で、ターゲットではない鳥獣種の錯誤捕獲が大きな問題となり、環境省でも問題視している。そして、そもそも罠猟の動物福祉上の問題である。欧米では、主として動物福祉上の要請から、罠猟は禁止ないし限定されており、日本は先進国中で特殊と言える。メンバーの疾病のための遅延もあったが、罠猟の功罪に光を当てるべき調査研究を行った。特に、猟具の技術論からの研究も進めた。 また、動物福祉や動物の権利の研究を進め、複数の研究発表を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数の研究分担者の不測の疾病により、罠猟と錯誤捕獲問題の現地調査を予定通り実施することができず、罠猟と錯誤捕獲問題の現地調査を繰越し延長して行う必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、市町村単位等で「鳥獣保全管理区」を鳥獣保護区以外の地帯に設ける「場の仮説」と、猟友会等の地域中間団体に鳥獣の利用と管理を担わせる「人の仮説」、という二つの仮説及びその組み合わせの実現可能性を検討することを主目的としている。そして、「人の仮説」研究と、「場の仮説」研究を中心に、研究期間を第1段階(1ー3年度)と第2段階(3ー5年度)に分ける。 第1段階では、「人の仮説」分野において狩猟者の現況の把握するために狩猟者への聞き取り調査を展開する。「場の仮説」分野では、猟区制度の活性化に向けての検討、鳥獣保護区や休猟区制度の見直しを行うとともに、白地地域(乱場)の問題点を探る。 第2段階では、「人の仮説」分野では、市町村等を単位とした狩猟者組織・猟友会が、鳥獣管理を担う具体像を検討する。「場の仮説」分野では、第1段階における鳥獣保護区や猟区のあり方等の考察を経たうえで、「鳥獣保全管理区」といった地理的管理スキームの構築を検討する。 翌令和5年度は、上記の第1段階に属する。「人の仮説」分野において狩猟者の現況の把握や狩猟者への聞き取り調査を強化して考察する。また、動物福祉に関しては、内外の法制度の比較などを行う。 「場の仮説」に関しては、鳥獣保護区と猟区について考察する。特に鳥獣保護区や休猟区に関しては、管理捕獲が実施されることが、全国的に恒常化しつつあるため、運用実態の調査や情報収集を行う。猟区に関しては、北海道などの現状調査と、その消長に関する歴史研究を行う。
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備考 |
普及啓発活動:高橋満彦、「初めて学ぶ鳥獣保護管理法」、野生生物と社会学会青年部会セミナー2023。
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