研究課題/領域番号 |
22H03834
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
粟屋 利江 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (00201905)
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研究分担者 |
田口 陽子 叡啓大学, ソーシャルシステムデザイン学部, 准教授 (00778251)
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 教授 (10349300)
太田 信宏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40345319)
井田 克征 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (60595437)
小松 久恵 追手門学院大学, 国際学部, 准教授 (80552306)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90596793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 南アジア / 感情 / 政治 / ジェンダー / ミドルクラス |
研究実績の概要 |
以下のように4回の研究会とワークショップ1を行った。 1.山田桂子「テルグ語をめぐる感情の諸相」、2.ワークショップHow Emotions turn into Poetry? Srijato Bandyopadyaya, ”Entrpping the Elusive”Sajjad Sharif ”From Thoughts to Poetry"3.横地優子「女神信仰とジェンダー:ラッジャ―・ガウリーを中心として」、天野恭子「子供の誕生を廻る神話から見る古代インドの結婚」4.Ananya Jahanara Kabir,"Singing beyond the (South Asian) Nation-state: Unspeakable Attachments and their Narrative Forms"、5.村上明香・小松久恵「愛について語るときに彼/女らの語ること:フランチェスカ・オルシニ編Love in South Asia: A Cultural Historyを読む」。 1は、南インド・テルグ語地域における言語運動と情動・感情の問題に関する先行研究を紹介しつつ、分析に不足している要因を補足し新たな解釈を示した。2のワークショップでは、詩人の立場からベンガル詩における感情の表現を議論した。3は、インド学研究にジェンダーと感情の視角を導入することをめざした。4は、国民形成の議論にいかに感情の要素が絡むかが論じられた。5では、南アジアにおける愛の表現に関する代表的な研究を土台にしながら、特にウルドゥー/ヒンディー文学に焦点を絞って批判的に議論した。以上、先行研究の批判作業を踏まえ、ディシプリンを横断して南アジアにおける「感情」の諸相を再考する研究を遂行した。
感情語のリスト化を同時に検討した。感情語の分布におけるサンスクリット起源の語と地方諸語との差異が検討された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南アジア研究を感情レヴェルの分析を加え再考するという目的に沿った共同研究の初年度にふさわしい活動を遂行できたといえる。1.ディシプリン横断的に研究を進めるという狙いに沿って研究会・ワークショップを組織した。2.各学問領域における代表的な先行研究の批判的検討とその共有を重視したが、この点でも、文学、歴史の領域でその目的を達成することができた。3.感情語リストの作成について、歴史的・文化的に重要な語の選択を議論し、現地諸語の比較検討への一歩を踏み出した。4.海外の研究者との意見交換も進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も初年度の経験を踏まえ同様の研究会を組織していく。具体的には、1.残された学問領域における先行研究の検討と共有を進める。すでに行った分野についても、随時、検討を継続する。まずは、現代インド政治、ミドルクラスをめぐる感情の諸相、歴史研究、特に植民期に関する感情の変容について、展示なども含めて考察の対象とする予定である。2.感情語リストの作成について、さらに具体的に検討する。この点では、さらに、各地諸語における独特な感情表現とその歴史的変容(特に、植民地時代における英語との邂逅による変化)についても考察が必要であると認識されている。3.南アジア学会などでのパネル報告、および、最終的な論集の刊行にむけての具体的なプランについて議論を進めていく。4.資料収集のために海外調査を続行する。5.海外の研究者との意見交換を重視していく。
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