研究課題/領域番号 |
22H03843
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
傅 凱儀 専修大学, 経済学部, 准教授 (50735983)
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研究分担者 |
甲斐田 きよみ 学校法人文京学院 文京学院大学, 外国語学部, 准教授 (20783608)
玉井 隆 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (40845129)
若狭 幸 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (40442496)
若月 利之 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (50127156)
阿部 進 近畿大学, 附属農場, 講師 (40708898)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アフリカ / ナイジェリア / 社会経済リスク / 生態環境リスク / 農業振興 / リスク認識 / 意思決定 / 経済開発 |
研究実績の概要 |
アフリカにおける飢餓と貧困を根絶するには、伝統技術を継承しつつも外来技術を調和的に導入し、農業の生産性と収益性を持続可能な手法で高めていく必要がある。しかし、社会経済リスクや生態環境リスクが高いアフリカ諸国では、外来技術の導入による農業の集約化がこれらリスクに対する農民の脆弱性を高める可能性があることから、農民のリスク認識と管理戦略を踏まえた農業・農村振興策の再構築が求められている。本研究は、ナイジェリアを調査対象とし、聞き取り調査、アンケート調査、公的統計資料、生態環境計測で得られた質的・量的データを解析することによって、農民のリスク認識とリスク管理戦略を明らかにすることを目的とする。令和4年度において、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、調査活動のキックオフが少し遅れたが、研究者代表者及び研究分担者はナイジェリアでの現地調査を実施することに成功し、ナイジェリア現地の大学研究者との調査連携関係を構築できた。現地調査の準備に当たって研究会を行い、ナイジェリアの農業開発において長年の調査経験をもつ研究者による情報収集、意見交換を行った。ナイジェリアの連邦農業大学アベオクタの研究者との調査連携によって、現地調査、遠隔調査を行うことができた。現地調査では、農業発展の動向、農業リスクと農外リスクについての最新情報を収集した。また、商業農業施設を見学し、農民に対して聞き取り調査を実施した。現地調査から得た情報に基づいて、まずはジェンダー、農民家計、リスクに関してのアンケートを設計し、現地チームによる遠隔調査は進んでいる。研究実績として、ナイジェリア農民が直面している最大のリスクの一つである気候変動について、学会発表、論文発表ができた。また、低地コメ栽培による土壌生産性改良についても、論文発表、国際学会の成果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度において、数年間長引いた新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、研究メンバーは数年間現地を訪ねることがなく、現地の状況を把握することが困難だった。現地の感染状況、入国制限について、日本での感染拡大によって大使館への情報確認も難しい状況にあった。また、現地の治安状況がかなり悪化し、本来調査する予定であったナイジェリア中部は危険レベルが上がったことによって、主要な現地調査地を南部の安全地域に変更する必要が生じた。本来は夏季休暇を利用して、現地調査を行う予定だったが、日本での感染爆発により実施できなくなった。現地訪問の可能性を模索しつつ、研究メンバーは研究会を開き、研究作戦会議を重ねてきた。継続した努力が報われ、年末年始に研究代表者及び研究分担者はやっとナイジェリアへの訪問に成功し、南部オグン州にある連邦農業大学アベオクタの研究者と研究連携を結ぶという大きな目標を達成できた。現地の治安状況、経済混乱による制限がある中、現地研究協力者の全面的なサポートによって、日本研究者は安全な状況で現地調査を実施できた。現地調査では、現地研究者、農民、農業関係者に対して聞き取り調査を実施して情報を収集し、また商業農業施設を見学して、近年の農業発展の動向を把握できた。現地調査の成果によって、研究の方向性、調査地域、調査実施方法などを決めることができた。現地調査後に、日本研究チームとナイジェリア研究チームは複数回研究会議を行い、遠隔調査の進展を捗った。ジェンダー、農民家計、リスクに関してのアンケートを設計し、現地チームによる遠隔調査は進んでいる。また、環境アセスメント、経済開発、リスク認識などに関する部分も有効な調査ツールを開発して、令和5年度にナイジェリア南部の複数な州で広範囲に実施できるよう、準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、アフリカ最大の人口をもち、アフリカ最大の経済国であるナイジェリアを対象国として、学際的調査によって次のことを明らかにする。 1)社会経済・自然環境の変動が農民のリスク認識・管理戦略に及ぼす影響を究明すること、 2)農業リスクと農外リスクの分類、定義、そして関連性について分析すること、3)量的・質的情報を統合的に解析し、農民のリスク認識・管理戦略の全貌を解明すること。以上の目的を達成するために、アプローチとして学際的調査手法を採用し、総合的に情報を解析する。令和5年度は、ナイジェリアの開発過程について、政治経済、農業政策、生態環境など多くの側面から既存研究、二次データを分析し、ナイジェリアが抱えている開発の問題、農業振興の課題、生態環境の変化などについて情報を整理し、有効な分析枠組み、調査方法を具体的に設計する。現地調査について、代表者および分担者は1~2回、2~3週間ほど現地に滞在して調査を行う。調査地としては、現地の研究協力者から効果的な支援および安全確保の観点から、主要な調査地を南部のオグン州、オヨ州、ラゴス州にする。連邦農業大学アベオクタの研究者を中心に現地研究体制を構築できたので、インターネットのリアルタイム通信による共同研究会、遠隔調査を実施する。令和5年度は有効な調査ツールを確立し、現地で大規模なアンケート調査を実施する。同時にアベオクタ市近郊の農村地で詳細的な質的調査、生態環境アセスメントも行う。学際的調査によって得られた結果を基にして、来年度以降はさらに調査規模を拡大し、特に質的調査に関する部分を深めていく。また、学会でのパネルセッションを企画し、研究成果を報告する。そして、最終年度にナイジェリアの研究協力者を招き、日本で国際会議を開催し、研究成果を論文集または書籍として刊行することを目指している。
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