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2022 年度 実績報告書

環境データ駆動型観光を目指した自然景観発生予測・公開システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H03848
配分区分補助金
研究機関北見工業大学

研究代表者

舘山 一孝  北見工業大学, 工学部, 准教授 (30374789)

研究分担者 原田 建治  北見工業大学, 工学部, 教授 (30312820)
吉川 泰弘  北見工業大学, 工学部, 准教授 (50414149)
岸本 稔  小樽商科大学, グローカル戦略推進センター, 教授 (50942421)
北川 泰治郎  小樽商科大学, グローカル戦略推進センター, 教授 (60643377)
佐藤 和敏  北見工業大学, 工学部, 助教 (60771946)
原田 康浩  北見工業大学, 工学部, 准教授 (80198928)
桝井 文人  北見工業大学, 工学部, 教授 (80324549)
大野 浩  北見工業大学, 工学部, 准教授 (80634625)
三枝 昌弘  北見工業大学, 工学部, 准教授 (80908880)
久保 比呂美  北見工業大学, 工学部, 講師 (90891979)
桑村 進  北見工業大学, 工学部, 助教 (20271538)
大湊 亮輔  小樽商科大学, グローカル戦略推進センター, 学術研究員 (40961587)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードデータ駆動型観光 / 絶景 / DIAS / オーバーツーリズム / 北海道 / AI画像認識 / VR
研究実績の概要

本年度は以下の4項目について調査・研究・開発を行った。
1.北海道・本州・極地の自然景観の発掘:各地の雲海・川霧・海霧(屈斜路湖「美幌峠、津別峠」、トマム「雲海テラス」、阿智村「天空の楽園」、朝来市「竹田城跡」、高梁市「備中松山城」、大洲市「肱川あらし」、三原市「海霧」)、サンピラー・ダイヤモンドダスト・ハロ・幻日(北見市、清里町、名寄市)、変形太陽(斜里町、別海町)、蜃気楼(魚津市)、星空などの自然現象や、ワイナリーのブドウ畑、グリーンランド・カナック、南極昭和基地などの景観について絶景予測と観光資源化に向けた現地調査を実施した。
2.自然現象の発生条件の調査・発生予測:北海道(4地点)とグリーンランド(1地点)に独自に開発したマルチネットワーク式の気象機器やDIASカメラを設置して、蜃気楼、変形太陽、雲海、ジュエリーアイス等に関する発生条件を調査し、発生予測モデルの開発を行った。DIAS上で独自の気象観測データと気象庁の予報データ等を用いて融合解析するDIASアプリケーション『Zekkei Explorer』を開発し、蜃気楼とジュエリーアイスの発生期待度を試験的に公開した。
3.観光ニーズ調査・データ駆動型観光のマネジメント検討:北海道(斜里町、弟子屈町、豊頃町、幌延町、占冠町、宗谷地区、十勝地区)や本州(長野県、富山県、兵庫県、岡山県、愛媛県)の役所・役場、観光協会、民間事業者へのヒアリングと観光の体験、観光客の動員状況、マネタイズ状況などの現地調査を行い、各地域が抱える問題点や成功例の洗い出しを行った。
4.情報発信方法の検討:カーリング体験を対象としてVRコンテンツによる観光体験が被験者の観光動機に与える刺激を実験的に検証し、有効な刺激を確認した。LDAと情報トリアージを応用してSNS投稿から意見を抽出してGTA分析を行う手法を提案し、一部機能について評価実験を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

・コロナ禍の収束に伴い、当初予定していたオホーツク地域に留まらず、道内や本州、海外での自然景観の観光資源化に向けた現地調査と、観光地のニーズ調査や問題点・成功例の洗い出し等を19地点・地区で実施できた。美幌町や津別町等の自治体と連携協定を締結し、地域との協力体制を強化した。
・データ駆動型観光の情報基盤として、DIASアプリケーション『Zekkei Explorer』を開発した。独自に設置したカメラの画像や気象計のデータから自然現象の発生の有無や規模を自動判別し、DIASに収録されている各種気象予測データ等と統合解析することにより、自然現象の発生を予測して公開するシステムの開発を進め、試験的に蜃気楼とジュエリーアイスの発生期待度を公開した。
・星空や早朝の自然現象を捉えるために24時間撮影が可能な高感度のHDRレンズを搭載し、バッテリーを増強した改良型DIASカメラを開発した。これまでDIASカメラを北見工業大学の技術員が手作りで製作していたため、カメラの供給が追い付かず観測地に設置できない問題があった。この問題を解決するために協力企業へ省電力型DIASカメラの技術移転を行って商品化することによって生産体制の効率化を行い、安価に多数のカメラを調達することが可能となった。高機能型DIASカメラについては引き続き技術員に設計・製作を担当して貰い、複数のレンズを搭載したモデルや極地モデル、望遠モデル、高画質モデルなど多彩なカメラを展開し、様々な対象・地域に適したカメラを製作・設置した。
・観光DXの実現に向けてVRコンテンツを利用した観光体験や、transfomerを用いた観光レビューに関連する地理情報を推論・追加する手法、SNS投稿から意見を抽出してGTA分析を行う手法を開発し、評価実験によりこれらの有効性が確認された。

今後の研究の推進方策

令和5年度については以下の項目に重点を置いて実施する。
・変形太陽、雲海、サンピラー、ダイアモンドダスト、ジュエリーバブル、湖の結氷などの自然現象や星空などの自然景観の発生予測を行う。
・AI画像認識を用いてDIASカメラで撮影された画像から自然現象の発生の有無や規模を自動判別する手法の開発を進め、絶景発生の条件や頻度を定量化することにより、『Zekkei Explorer』に登録する自然現象の件数追加を加速する。
・自然現象に加えワイナリーなどの文化的景観を含めた絶景の発掘と観光資源化のための調査を継続する。絶景のVRコンテンツなどのデジタルアーカイブを充実させ、観光地への呼び水としての利用や現地で絶景が見られなかった場合でも疑似的に感動体験ができるなどの観光DXに利用する。
・観光DX先進地の調査を進め、データ駆動型観光の実現に必要な情報通信やデジタル環境などのインフラ整備、研究機関・地方自治体・民間企業・地元住民等が連携した地域の協力体制づくり、持続可能な観光地を目指した魅力的な観光資源の開発と醸成、データ分析に基づく観光ビジネスモデルの最適化の検討を行う。
・留学生のモニターツアーを実施し、外国人観光客向けの効果的な情報発信方法や魅力あるツアー内容を検討する。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 北海道大津海岸におけるジュエリーアイスの輸送・堆積現象に関する現地調査2023

    • 著者名/発表者名
      秋田智広,吉川泰弘,井上和哉,松川優一,菊地正彦,芳賀聖一,甲斐達也
    • 雑誌名

      土木学会北海道支部年次技術研究発表会論文報告集

      巻: 79 ページ: B-13

  • [雑誌論文] GPS追跡機器によるジュエリーアイスの輸送経路調査2023

    • 著者名/発表者名
      井上和哉,松川優一,菊地正彦,吉川泰弘
    • 雑誌名

      土木学会北海道支部年次技術研究発表会論文報告集

      巻: 79 ページ: B-12

  • [雑誌論文] 北海道大津海岸におけるジュエリーアイス出現時期推定手法の一検討2022

    • 著者名/発表者名
      岸本真志,吉川泰弘,芳賀聖一,甲斐達也
    • 雑誌名

      土木学会論文集B1(水工学)

      巻: 78(2) ページ: I_1063-I_1068

    • DOI

      10.2208/jscejhe.78.2_I_1063

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 定点カメラを用いた斜里沖に発生する蜃気楼の自動判別手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      今泉賢斗,舘山一孝,佐藤トモ子,石原宙
    • 雑誌名

      北海道の雪氷

      巻: 41 ページ: 63-66

    • オープンアクセス
  • [学会発表] カーリング体験観光におけるVRコンテンツの有効性に関する実験的検証2023

    • 著者名/発表者名
      今関理人,桝井文人,プタシンスキ・ミハウ
    • 学会等名
      観光情報学会第23回研究発表会
  • [学会発表] 絶景観光の有料化における障壁と戦略可能性について2023

    • 著者名/発表者名
      大湊亮輔
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] オホーツクにおける大学と地域との連携2023

    • 著者名/発表者名
      三枝昌弘
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] 蜃気楼・幻氷カフェ2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤トモ子,星弘之
    • 学会等名
      斜里町立知床博物館ミュージアムカフェ講座
  • [学会発表] 冬季寒冷地のt大気光学現象とその観光資源価値2023

    • 著者名/発表者名
      原田康浩
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] Zekkei プロジェクト等の取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      東陽介
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] 他府県観光地におけるDXの取り組み例とZekkeiプロジェクトへの応用可能性2023

    • 著者名/発表者名
      東陽介
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] 冬季災害アイスジャムと新たな冬季観光ジュエリーアイスに関する最新の研究成果2023

    • 著者名/発表者名
      吉川泰弘
    • 学会等名
      気候変動適応セミナー「変化する気候と私たちの生活」
    • 招待講演
  • [学会発表] ジュエリーアイス研究に関する現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      吉川泰弘
    • 学会等名
      冬季観光に関する検討会 ~十勝地域の冬季観光を活性化するためのジュエリーアイス出現予測と連携したデータ駆動周遊モデル提案システムに関する基盤研究~
  • [学会発表] 地域サービスに対する意見を分析するための質的分析法の実装2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺大智, 桝井文人
    • 学会等名
      2023年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 定点カメラを用いた斜里沖に発生する蜃気楼の自動判別手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      今泉賢斗,舘山一孝,佐藤 トモ子,石原宙
    • 学会等名
      日本雪氷学会北海道支部 研究発表会
  • [学会発表] 定点カメラを用いた斜里沖で発生する上位蜃気楼の自動判別手法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      今泉 賢斗
    • 学会等名
      日本蜃気楼協議会 令和4年度研究発表会
  • [学会発表] 屈折率楕円体を用いた偏光色の理論計算2022

    • 著者名/発表者名
      大竹達也,酒井大輔,原田建治
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] データ駆動発見型観光の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      三枝昌弘
    • 学会等名
      DIAS公開シンポジウム「DIASから広がる新たな価値創造」
  • [学会発表] 幻氷回数・発生時期の整理と季節感の再検討2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤トモ子
    • 学会等名
      日本蜃気楼協議会 令和4年度研究発表会
  • [学会発表] 観光工学の取り組み内容と今後の課題(2) オホーツクへの恩返し 蜃気楼や雲海を”zekkei”遺産に!2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤トモ子
    • 学会等名
      日本ホスピタリティ・マネジメント学会 北海道支部会
  • [学会発表] Superior mirage observed in the Sea of Okhotsk2022

    • 著者名/発表者名
      Nioka, D., K. Harada and T. Otake
    • 学会等名
      Digital Holography and Information Photonics 2022
  • [学会発表] フリンジ画像の等値線上線形当てはめによる連星スペックル差測光2022

    • 著者名/発表者名
      西田來樹,桑村進,三浦則明,馬場直志
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [学会発表] ジュエリーバブルの再現及び解明2022

    • 著者名/発表者名
      新田見光汰,大竹達也,原田建治
    • 学会等名
      第22回情報フォトニクス研究グループ研究会
  • [学会発表] Polarization color in reflective devices2022

    • 著者名/発表者名
      Harada, K. and T. Otake
    • 学会等名
      Digital Holography and Information Photonics 2022
  • [学会発表] 北見工業大学・北海道国立大学機構におけるZekkeiプロジェクトのとりくみ2022

    • 著者名/発表者名
      升井洋志,舘山一孝
    • 学会等名
      先端ネットワーク利用研究に関するワークショップ ”ADVENT 2022”
  • [学会発表] 観光工学の取り組み内容と今後の課題(1) 身近な絶景と気象データで磨く地域力2022

    • 著者名/発表者名
      森山知洋
    • 学会等名
      日本ホスピタリティ・マネジメント学会 北海道支部会「観光工学が支える北海道のホスピタリティ・イノベーションの新展開」
  • [備考] 絶景予測-Zekkei Explorer

    • URL

      https://diasjp.net/service/zekkei/

  • [備考] ジュエリーアイスプロジェクト

    • URL

      http://jewelryice-project.com/jewelryice/

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公開日: 2023-12-25  

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