研究課題/領域番号 |
22H03854
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
亀山 嘉大 佐賀大学, 経済学部, 教授 (30373210)
|
研究分担者 |
岩橋 培樹 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (50423736)
近藤 明子 四国大学, 経営情報学部, 准教授 (60514081)
堂前 光司 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (80824705)
田村 一軌 公益財団法人アジア成長研究所, 調査部, 主任研究員 (90426049)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 観光の集積効果 / 観光政策 / 魅力度 / COVID-19 / 生産性 / 稼げる / 地図情報(GIS) / 港湾・空港 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの開始時点で研究課題は次の3つに分割できる。課題1は、地域の観光の集積効果であり、そのために観光の集積効果が地域経済の生産性や賃金に与える影響を分析する。課題2は、観光産業を特定地域に集積させる条件といえるテーマパークや史跡名勝など魅力的な観光資源について、地域の観光資源の魅力度を定量化し、観光の集積効果の形成における「魅力度とその情報発信の役割」を分析する。課題3は、訪日客のゲートウェイである空港や港湾の(管理者である地方自治体が供出している)行政投資の役割である。観光の集積効果の形成における「LCCやクルーズ船の発着点である空港や港湾の行政投資の役割」を分析する。これらの研究課題を念頭に、研究代表者と研究分担者で、全体並びに個別での研究会や打ち合わせを定期的に実施し、論文の作成に努めた。本年度は、課題1を中心に研究プロジェクトが実施された。主要な研究業績の概要は以下の通りである。 近藤(2023)では、我が国におけるCOVID-19感染拡大下の観光動向と意識を明らかにすることを目的に、全国を対象として実施したwebアンケート結果の分析を行った上で、景気動向やCOVID-19感染拡大が旅行者数に与える影響を定量的に明らかにするためのモデル構築を行った。 岩橋(2023)では、コロナ禍以前の10年間(2010-2019)にアジア6地域(台北、ソウル、上海、香港、バンコク、シンガポール)から沖縄県を訪れた渡航者数のデータをもとに、沖縄県観光需要の要因分析を行った。 KAMEYAMA(2023)では、訪日客数を「訪日外国人旅行者の地域(観光)需要の大きさ」である観光マーケットポテンシャル(TMP:Tourism Market Potential)を集積効果として、地域のTMPと観光業のIT化(キャッシュレス決済や旅行サイトを通じた予約サービスの活用)が都道府県の生産性と賃金にどのような影響を与えてきたのかを分析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は合計5本の論文を発表できた。その中でも、亀山嘉大(2022)「インバウンドの再開と稼げる観光業の構築-日本経済の再浮揚に向けて- 」『運輸と経済』 82(12) 25-33 では、本研究プロジェクトの方針を示すことができた。この論文を踏まえて、KAMEYAMA Yoshihiro(2023)"Inbound Tourism Demand and Japanese Regional Productivity before the COVID-19 Pandemic: The role of tourism agglomeration and electronic payment" RIETI Discussion Paper 23-E-009 では、訪日外国人旅行者の旅行形態や決済手段の違いが地域の生産性に与える影響を分析できた。当該論文同様に、経済産業研究所のプロジェクトと連動したこともあり、研究代表者と研究分担者で、3本のDiscussion Paperを発表できた。
|
今後の研究の推進方策 |
新年度の方針としては、研究分担者である四国大学の近藤明子准教授の主導のもとで実施したアンケート調査を分析し、論文にまとめることがある。さらには、インバウンド需要の中でも、一定の価格帯のもとで観光行動を展開している台湾やシンガポールなどからの訪日観光客の動向を改めてアンケート調査などを通じて把握していきたいと考えている。また、少子高齢化社会のもと、日本国内、特に地方都市における公共交通の衰退は、地方に展開し始めている訪日観光客の足枷になる可能性があることから、この点の調査にも着手したいと考えている。最後に、観光政策と直接的な関係はないが、コロナ禍で普及したテレワークは、オフィス需要や公共交通のあり方に影響を与えている。公共交通のあり方、特に公共交通の利用減は、観光政策と間接的な関係があるため、この点の研究も推進したいと計画している。
|