研究課題/領域番号 |
22H03885
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邉 英徳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (00514085)
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研究分担者 |
貴志 俊彦 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (10259567)
中村 覚 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80802743)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 写真 / デジタルアーカイブ / フィールドワーク / データベース / 戦中写真 / バーチャルリアリティ / 平和学習 / マスメディア |
研究実績の概要 |
社会に“ストック”されていた,戦前・戦中の特派員写真の希少資料を“フロー”化する情報デザイン手法を探求し,ストーリーテリング型のコンテンツを制作した。また,資料のデジタル化と分析を行ない,メタデータを付与してデジタルアーカイブ構築を継続した。 当初の計画に沿って,以下の内容を進めた。①デジタル化・DB登録,資料の選定・書誌情報の付加:毎日新聞社のフォトアルバムやネガ袋のメモ,新聞紙面の記事情報を元データとして,撮影者,場所,時期,主副被写体など撮影行為に関する書誌要素をOmekaに登録し,書誌情報項目の検討,改善点の検討を行なった。撮影者・撮影地・カメラパラメータについても可能な限りで加えた。②DB構築とAPI作成:資料のデジタル化と分析を行ない,メタデータを付与してデジタルアーカイブを構築した。 ③可視化コンテンツの作成:ArcGIS Online StoryMapsを用いて,写真などの資料をデジタルアースにマッピングし,アニメーション表示して,時空間可視化を行なった。また,空間解析を用いて,場所と写真の属性の関係を可視化した。これらのコンテンツにレスポンシブデザインを施し,大型ディスプレイやパソコン,タブレット,スマートフォンなど多様な端末で上映・操作可能にした。 また,東京大学ニューヨークオフィス・東京大学福武ホールで中間成果の展示会を実施し,社会実装の試行を進め,鑑賞者のフィードバックを得た。また,ノーコードのGISプラットフォームを用いた市民参加ワークショップを川崎市で実施した。これらの成果はNHK,毎日新聞など,多数のメディアで報道された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように,当初の計画通りに資料を“フロー”化する情報デザイン手法を探求し,ストーリーテリング型のコンテンツを制作した。また,資料のデジタル化と分析を行ない,メタデータを付与してデジタルアーカイブ構築を実施できた。 加えて,当初の計画に加えて国内外で中間成果の展示会を実施して社会実装の試行を進め,鑑賞者のフィードバックを得て,コンテンツにフィードバックすることができた。また,研究期間中に急速に発達したノーコードのGISプラットフォームを用いて,市民が自力でデジタルアーカイブを作成するワークショップも実施できた。これらの成果はNHK,毎日新聞など,多数のメディアで報道された。研究成果について,4編の単著・共著書籍・論文,18件の口頭発表も行なった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,これまでに作成した可視化コンテンツの完成度を高めるとともに,ノーコードのプラットフォームやVRなど,先端技術を取り入れた新規性・魅力のあるコンテンツの試作を行なう。また,デジタルアーカイブ構築・API生成,デジタルデータの作成とDB登録,報道写真の場所・時代の特定と内容分析,関係者へのインタビュー調査を継続する。さらに,国内外でのフィールド調査を実施する。研究成果をもとにした論文執筆・学会発表,展覧会やワークショップの開催も積極的に行なう。前年度に引き続き,マスメディアとの連携による社会実装と情報発信も進めていく。
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