• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

「中年文化」の戦後メディア史に関する歴史社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H03907
配分区分補助金
研究機関立命館大学

研究代表者

福間 良明  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (70380144)

研究分担者 日高 勝之  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (00388787)
前田 至剛  追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (00454455)
森下 達  創価大学, 文学部, 准教授 (00775695)
井上 義和  帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10324592)
高井 昌吏  東洋大学, 社会学部, 教授 (20425101)
小川 実紗  立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (30962295)
野上 元  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50350187)
白戸 智子 (松永智子)  東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (60735801)
山本 昭宏  神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70644996)
佐藤 彰宣  流通科学大学, 人間社会学部, 講師 (70804350)
谷本 奈穂  関西大学, 総合情報学部, 教授 (90351494)
水出 幸輝  同志社大学, 社会学部, 助教 (90882390)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード中年文化 / メディア史 / 戦後史
研究実績の概要

従来のメディア文化研究・ポピュラー文化研究では、総じて「若者メディア文化」に焦点が当てられてきた。だが、そのゆえに、以下の2点が不問に付されてきた。
① 中年文化の変容プロセスと戦後の社会構造(格差・労働・福祉など):従来のメディア研究では、社会の中堅たる中年層のメディア文化が見落とされてきた。ビジネス雑誌史や時代劇ドラマ史の研究が進展しないことは、そのあらわれである。そのことは、中年層が直面した戦後の社会構造の変容(労働、家族、格差、福祉、新自由主義など)とメディア文化の入り組んだ関係性が見過ごされることにつながっている。
②「かつての若者文化」の遅滞:人々が若者から中年へと年齢を重ねる中、「『かつての若者文化』がいかに後の時代に受け継がれたのか(変容したのか)」も、これまで見落とされてきた。若者文化は「同時代の若者」のみが享受したのではない。中年層は、若い頃に触れた文化的嗜好や価値観を引きずりながら、中年期を過ごしたはずだが、その実相や社会背景は検討されなかった。
以上の研究の欠落を埋めるべく、本研究は、中年層に多く受容されたメディア文化(「中年文化」)とその変容を明らかにし、ともすれば若者層のみに焦点を当てがちな文化研究の方法論や視角を刷新したい。
こうした研究目的のもと、2023年度は前年度に引き続き、基礎資料の収集と分析経過の報告・討議に重点を置いた。共同研究者による研究会は2回(7/8,3/14)実施した。1回あたり3名ほどの発表(計5~6時間)であり、そのなかで、資料収集・分析の経過報告を行い、そのうえで、研究の問いや分析軸の擦り合わせや再検討を行った。具体的には、中年サラリーマン層の娯楽文化・メディア文化のほか、メディアでの「中年」をめぐる言説変容やそのジェンダーポリティクスについて、検討を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各地の資料館・図書館や古書などで、共同研究者それぞれが基礎資料の入手・分析を進めている。研究会は2023年度に2回実施ではあったが、それぞれ半日ほどの時間をかけて、討議に十分な時間を充てることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度に引き続き、基礎資料の入手と分析、および研究会での情報共有を進める。具体的には、以下のテーマに沿って作業を進める。
(1)教養・修養の残影 生き方雑誌と戦後体験、主婦像の変容と婦人雑誌、歴史ブームと教養主義の残影
(2)仕事・家族・地域 ビジネス雑誌文化と新自由主義、家族の変容とホームドラマ、農村雑誌・地域生活文化
(3)「息抜き」のメディア文化 勧善懲悪と時代劇、「毎朝15分の現代史」としての朝ドラ、中高年の音楽文化
(4)「中年」をめぐるメディア(ジャンル)での言説変容とジェンダーポリティクス
なお、すでに共著書『中年文化の戦後史』(仮題)の出版が決まっているので、研究会では担当編集者も交えながら、意見交換を進める予定である。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (6件)

  • [雑誌論文] 吉岡司令補と鶴田浩二2024

    • 著者名/発表者名
      井上義和
    • 雑誌名

      『ユリイカ』2024年4月号

      巻: 56(5) ページ: 144-152

  • [雑誌論文] 「1968年」の批評はいかにして衰退したか――1970年代半ばの映画批評の分析を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      森下達
    • 雑誌名

      『創価人間学論集』

      巻: 17 ページ: 25-48

  • [雑誌論文] 石ノ森章太郎「サイボーグ009 移民編」(1968年)の描き換えに関する一考察――マンガを問題視する視線はどのように変化したか――2024

    • 著者名/発表者名
      森下達
    • 雑誌名

      『マンガ研究』

      巻: 30 ページ: 8-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 点滅する廃墟、あるいは戦後思想家としての磯崎新2024

    • 著者名/発表者名
      山本昭宏
    • 雑誌名

      『思想』

      巻: 1197 ページ: 73-82

  • [雑誌論文] 「作品で描こうとしたものと、作品が受け入れられた背景」(特別企画 司馬遼太郎の「これまで」と「これから」)2023

    • 著者名/発表者名
      福間良明
    • 雑誌名

      『歴史街道』

      巻: 423 ページ: 104-111

  • [雑誌論文] 鼎談「三人閑談 司馬遼太郎生誕100年」2023

    • 著者名/発表者名
      福間良明・大石裕・片山杜秀
    • 雑誌名

      『三田評論』

      巻: 1276 ページ: 74-87

  • [雑誌論文] 「我々は「祖国」を忘れたのか――辞書を引いてもわからない「祖国」という言葉の本当の意味」2023

    • 著者名/発表者名
      井上義和
    • 雑誌名

      『WiLL』2023年11月号

      巻: 227 ページ: 318‐323

  • [雑誌論文] インターネット社会における冒険家の栄光と転落―栗城史多を事例として―2023

    • 著者名/発表者名
      高井昌吏
    • 雑誌名

      『東洋大学社会学部紀要』

      巻: Jan-61 ページ: 37-50

  • [雑誌論文] 少年は何と戦い、どこに行くのか ディズニー・乱歩・現実2023

    • 著者名/発表者名
      森下達
    • 雑誌名

      『現代思想』

      巻: 51-13 ページ: 194-200

  • [雑誌論文] 〈絵本を読む母〉と戦争ー月刊誌『母の友』(福音館書店, 1953年ー)の70年から2023

    • 著者名/発表者名
      松永智子
    • 雑誌名

      『メディア研究』

      巻: 103 ページ: 45-70

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Godzilla Plus: Nostalgia, History, and Culture in the Latest Giant from Japan2024

    • 著者名/発表者名
      日高勝之
    • 学会等名
      Annual Conference of Association for Asian Studies, Seattle, the United States
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Reality of Cosmetic Surgery in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      谷本奈穂
    • 学会等名
      Health and Diseases in Modern and Contemporary East Asia A Dialogical Perspective
    • 招待講演
  • [学会発表] 「戦後日本のメディア文化と『戦争の語り』の変容」2023

    • 著者名/発表者名
      福間良明
    • 学会等名
      第72回SGRAフォーラム / 第8回日本・中国・韓国における国史たちの対話の可能性(主催:渥美国際交流財団)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「「明治の明るさ」と戦後後期の大衆ナショナリズム:「司馬遼太郎の時代」と「昭和の暗さ」の後継化」2023

    • 著者名/発表者名
      福間良明
    • 学会等名
      国際シンポジウム「東アジアにおける文化権力の対立と拮抗:和解のための模索」(主催:翰林大学校日本学研究所)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 今泉隆裕・大野哲也編『社会をひらくスポーツ人文学:身体・地域・文化』2024

    • 著者名/発表者名
      高井昌吏(分担執筆)
    • 総ページ数
      361
    • 出版者
      嵯峨野書院
    • ISBN
      978-4782306246
  • [図書] 井上義和・加藤善子編『深志の自治 地方公立伝統校の危機と挑戦』2023

    • 著者名/発表者名
      井上義和(共編著)
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      信濃毎日新聞社
    • ISBN
      978-4-7840-7417-4
  • [図書] 『「冒険・探検」というメディア―戦後日本の「アドベンチャー」はどう消費されたか』2023

    • 著者名/発表者名
      高井昌吏(単著)
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      法律文化社
    • ISBN
      978-4589043153
  • [図書] 難波功士・野上元・周東美材 編『吉見俊哉論 : 社会学とメディア論の可能性』2023

    • 著者名/発表者名
      野上元(共編著)
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      人文書院
    • ISBN
      978-4409241578
  • [図書] 北田暁大・東園子編『岩波講座社会学第12巻 文化・メディア』2023

    • 著者名/発表者名
      谷本奈穂(分担執筆)
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      978-4-0001-14523
  • [図書] 荒川歩・鈴木公啓・木戸彩恵編『〈よそおい〉の心理学 サバイブ技法としての身体装飾』2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木公啓・谷本奈穂(分担執筆)
    • 総ページ数
      280
    • 出版者
      北大路書房
    • ISBN
      978-4762832260

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi