研究課題/領域番号 |
22H03944
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 達也 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40318100)
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研究分担者 |
戸部 友輔 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (00907082)
本間 順 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50507366)
関根 秀一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (60541737)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 灌流培養 / 血管床 / 膵臓再生 / 細胞シート / 組織工学 / 立体的組織 |
研究実績の概要 |
本研究では、『生体外血管床灌流培養』『血管網付膵島細胞シート』『段階的積層法』『軽度低温培養』を用いて機能的な立体的膵島β細胞組織の構築法を確立する。そのために、静置培養(①)、人工血管床灌流(②)、動静脈付き組織ラット移植(③)の3実験を行う。細胞はヒト脂肪間葉系幹細胞(hASC)、緑色蛍光蛋白発現臍帯静脈内皮細胞(GFPHUVEC:経時的画像追跡が可能)、発光インスリン分泌ラット膵島β細胞(iGL cell:発光インスリンにより経時的定性比較が可能)を、動物は免疫抑制ラットを使用した。 本年度は、①に関しては、血管内皮付膵島β細胞シート(以下:細胞シート)の作製プロトコールを確立した。また、低温度培養における3種共培養系の代謝の変化と血管網構築能の評価を終えた。結論としては、32度で細胞の代謝を抑制されるものの、血管網構築に関しては、37度と大きな差異は認めなかった。そのため、32度で灌流培養することで、代謝を抑制しながら、血管網構築が構築できると考えられ、灌流培養は32度の軽度低温度環境で行うこととした。②に関しては、細胞シートを移植するための、人工血管床作製デバイス、プロトコールを改良し、効率的に施行回数を重ねることができるように準備をした。③に関しては、動静脈付きの膵島β細胞組織を構築するための、血管フラップの作製法を動物実験(ラット)で検討を重ねた。結果として、動静脈シャント血管床が筋肉血管床よりも生体外での膵島β細胞組織構築の成功率が高いことを示せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
静置培養(①)、人工血管床灌流(②)、動静脈付き組織ラット移植(③)の3つの要素にわけて実験を進めているが、①、②、③の3つそれぞれで進捗があり、学会での報告もできている。また、①の成果の一部は、英文査読論文(Tissue engineering Part A)へ投稿し、掲載されており(業績参照)予定よりも順調に進んでいる。②に関しては、人工血管床作製に関しての不安定さ(血管網構築が不成功することがある)が判明したものの、デバイスを新規に作製することで安定することに成功し、次年度以降の進捗に期待ができる。③に関しては、生体由来の血管床作製に成功するとともに、生体外での立体組織構築に成功しており、予定より順調に進んでいる。 全体としては、当初の計画以上に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
静置培養系では、引き続き血管新生因子の探索を進める。これまでは、細胞シートの血管新生効果に関しては、間葉系幹細胞に対する視点のみで検索していたが、本年度は血管内皮細胞における血管新生因子に関して検討を進める。場合によっては、血管新生系の転写因子の遺伝子導入も視野に進めていく予定である。 人工血管床灌流培養系では、昨年度に達成できなかった細胞シートの積層移植を進め、段階的積層法の検討を含めた生体外での立体組織構築法のプロトコール確立を進める。 動静脈付き膵島様組織の移植に関しては、昨年度までに生体外での組織構築に成功しているが、安定した組織構築にはいたっていないので、昨年度の成果である軽度低温度環境を取り入れて、立体組織構築のプロトコール確立を目指していくとともに、最終年度にむけて、生体(ラット)への血管吻合移植を開始する。 また、本年度も得られた成果は、論文報告及び学会報告の形で積極的に社会へ還元していく。
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