研究課題/領域番号 |
22H03945
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
橋本 卓弥 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (60548163)
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研究分担者 |
道脇 幸博 東邦大学, 医学部, 客員教授 (40157540)
井尻 敬 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30550347)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下 / 筋骨格モデル / 筋シナジー |
研究実績の概要 |
これまでの研究で得られていた4DCT画像を用いて,嚥下運動における筋の協調運動について解析を行い,その制御モデルについて検討を行った.具体的には,まず,昨年度の成果を基に,研究分担者が開発しているRoiPainter4Dを用いて健常被験者8名分の4DCT画像を解析し,嚥下関連器官(舌骨や甲状軟骨)と食塊の運動を計測した.また,研究代表者が開発してきた嚥下筋骨格モデルを用いて筋活動解析を行うと共に,筋シナジー解析を行うことにより,嚥下関連筋に内在する協調構造を調べた.そして,その結果を基に各筋群の制御機構をモデル化し,検証した.この他,健常被験者を対象に,320-ADCTにより咀嚼・嚥下動態の撮像を行った.その結果.以下の3点の成果が得られた. ①筋シナジー解析の結果,シナジー数は平均で3となった.また,舌骨の運動との対比により,各シナジーは舌骨の挙上後退,挙上前進,下降後退の3つの運動に対応していることが分かった.さらに,舌骨の運動と食塊の運動との関係から,嚥下運動は随意運動,嚥下反射,伸張反射の3つの動きで構成され,それぞれの運動が各シナジーに対応すると考えられた. ②①の考察を基に各シナジーにおける筋の制御モデルを考案した.また,そのモデルを用いて筋活性度を求め,嚥下筋骨格モデルによる動力学計算を行ったところ,正常嚥下における舌骨の運動を再現することができた. ③健常被験者10名の咀嚼・嚥下運動の4DCT画像を取得し,咀嚼~嚥下に至る各器官の運動解析を進める準備ができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り,嚥下の4DCT画像を用いた運動解析と,筋骨格モデルによる筋活動解析により,嚥下関連筋に内在する協調構造を調べることができた.また,その結果を基に筋群の制御モデルについて基礎的な検討を行うことができた.一方,咀嚼~嚥下までの4DCT画像は取得できたものの,まだ十分に解析を進められていない.また,機能的電気刺激(FES)による嚥下機能の補助・再建に関する研究項目についても十分に着手できていない.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実施状況を鑑み,2024年度では以下の3点について重点的に研究を進める. ①新たに取得した複数人の咀嚼・嚥下運動の4DCTデータを用いて運動解析を進め,各運動間や筋活動間に見られる協調構造(シナジー)を調べる. ②2023年度に考案した筋群の制御モデルを深化・発展させ,より生理学的な知見に基づいたモデルを構築すると共に,その妥当性を検証する. ③研究代表者が研究を行っているPVDFフィルム(圧電素子)を用いた嚥下運動計測技術を用いて,咀嚼~嚥下に至る際の筋音,嚥下音,喉頭挙上に関連した信号から咀嚼(随意)~嚥下(不随意)に至る際のタイミングを同定し,機能的電気刺激の刺激タイミングの調整に活用できるようにする.
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