研究課題/領域番号 |
22H03957
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
小出 裕之 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60729177)
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研究分担者 |
奥 直人 帝京大学, 薬学部, 教授 (10167322)
水野 初 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (30457288)
星野 友 九州大学, 工学研究院, 教授 (40554689)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アミノ酸 / 吸着剤 / 抗体 / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
本年度は、標的モデル分子としてミツバチ由来の溶血毒素であるメリチンを用い、その毒性を中和可能なナノ粒子の開発を試みた。メリチンを吸着・中和する解毒剤は、負電荷アミノ酸としてL-Cysteic acid(CyA)、疎水性アミノ酸としてL-tert-Leucine(Tle)を用いて合成した。はじめにペプチドの簡便な合成法を探索するため、アミノ酸の中で最も単純な構造を有するL-Glycine(Gly)を用いて縮合剤、触媒、反応時間や反応溶媒などの条件を最適化した。次に、負電荷アミノ酸と疎水性アミノ酸を共に水に溶解させ、縮合剤として1-(3-dimetylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide Hydrochloride(EDC)、触媒としてN-Hydroxysuccinimide(NHS)を加えてペプチドを合成した。その後、透析により未反応のアミノ酸や副生成物などを除去した。LC/MSを用いてペプチド鎖長の解析を行った結果、合成したペプチドはどの合成条件においてもオリゴペプチド程度であることが明らかになった。また、合成したペプチドのメリチン毒性中和能を検討するために、メリチンによる赤血球の溶血阻害試験を行った結果、ペプチドは赤血球の溶血をわずかに阻害した。そこで、メリチン毒性中和効果を向上させるため、まずはCyAとTleのみでペプチドを合成し、その後連結させることを考えた。LC/MSを用いて各ペプチドの鎖長を測定した結果、CyAペプチドは4 mer、Tleペプチドは5 merを多く含むペプチドが合成されていた。CyAペプチドとTleペプチドを連結(CyA-Tleペプチド)させて溶血阻害試験を行った結果、アミノ酸単体、CyAペプチド、Tleペプチドと比較し、CyA-Tleペプチドは高い溶血阻害作用を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システイン酸とtertロイシンを用いてペプチドを合成することで、生体内でメリチンの毒性を中和することに成功している。そのため、本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、アミノ酸からナノ粒子を合成する方法を一般化する。ナノ粒子の合成方法を一般化した後は、生体内でのメリチン毒性の中和効果を検討する。具体的には、致死量のメリチンをマウスに静脈内投与後にナノ粒子を静脈内投与して、マウスの生存率が延長可能かどうかを検討する。その後、蛍光標識したメリチンと蛍光標識したナノ粒子を静脈内投与して、それぞれが体内のどの部位に存在しているのか、また、臓器に存在する際にそれぞれが共局在しているかどうかを明らかにする。さらに、放射標識ナノ粒子を静脈内投与して、24時間後に臓器を回収して放射活性を測定することで、ナノ粒子の体内分布を解析する。本研究で用いるナノ粒子は、アミノ酸から合成されているため、一定時間後に生体内で分解されて体内から排泄されることを期待している。そこで、放射標識ナノ粒子をマウスに静脈内投与後、2週間、4週間後に解剖することで、ナノ粒子の体内残存量を明らかにし、ナノ粒子自体の安全性を明らかにする。
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