1. 高密度細胞単層配列に適した両親媒性ポリマーの合成と持続性の検証 これまでの研究で得られていた両親媒性ポリマーをベースとして、官能基の構造やモノマーの混合比、重合開始剤の構造および添加量を変化させ、約300種類のポリマーをラジカル重合により合成した。次に、それらのポリマーを有機溶剤に溶解し、スピンコートによりプラスチック平板上にコーティングした。作製したポリマーコート基板に白血球の培養モデルとしてヒトTリンパ球細胞(CEM)の懸濁液を滴下し、平板上基板の全面に細胞が自然に行き渡るか否かを調べた。その結果、多数のポリマーコート基板で速やかに細胞が全面に行き渡ることを確認した。また、その内いくつかのポリマーコート基板では、洗浄操作や抗体染色等の操作を行っても高密度に細胞を保持できることが判明した。 2. ヒト血液検体を用いた自動判別モデルの構築と検証 がん細胞の自動判別が可能な学習モデルを構築するため、健常者の血液から、健常者の血液から赤血球を除去した細胞画分を平板上に単層配列させ、CytokeratinとCD45で二重染色後に広視野蛍光顕微鏡により観察し、得られた白血球のみの画像をVidiに読み込ませて“ 白血球学習モデル”を構築した。次いで、健常者の血液に既知量の培養がん細胞を混合して疑似患者血液を調製し、これをサンプルとして、構築した学習モデルを用いてがん細胞の自動判別が可能下否か検証し、がん細胞の検出については、人の目による判定と同等の精度で自動判別できることを確認した。
|